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秋の嵯峨嵐山 おすすめ紅葉スポット ②宝厳院

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京都でも有数の観光地、嵯峨嵐山。緊急事態宣言も解除され、観光客も戻ってきました。

11月に入り渡月橋周辺の木々や嵐山も色鮮やかに色づき始めました。JR、阪急、京福の各駅からの交通アクセスも便利で、有名な神社仏閣などの絶景スポットも多数集まっています。そんな嵯峨嵐山でも特におすすめの紅葉スポットを数回にわたりご紹介します。

今回は京福電気鉄道「嵐山駅」からすぐの天龍寺塔頭、宝厳院(ほうごんいん)の紅葉をご紹介します。

 

 

宝厳院の場所

goo.gl

 

宝厳院の行き方

電車で

 JR「嵯峨嵐山駅」下車10分

 京福電鉄「嵐山駅」下車徒歩3分

 阪急「嵐山駅」下車徒歩10分

 

京都市バス

 JR京都駅前より京都市バス28番で

  「嵐山天龍寺駅」下車そこから徒歩5分

 

京都バスで

 JR京都駅前より

  京都バス72番もしくは73番で

  「京福嵐山駅前」下車 そこから徒歩5分

 

 

 

本日のスタートは京福「嵐山駅」からすぐの天龍寺です。

京福「嵐山駅」から天龍寺までの行き方は以下のブログで紹介しています。↓

ぜひ天龍寺も一緒にご参拝ください。

www.yomurashamrock.me

 

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天龍寺の法堂です。法堂とは説法法堂の意で、住持が仏に代わって民衆に説法する場所のことです。元治元年(1864)の兵火で焼失し、その後明治になり、江戸後期建立の雲居庵禅堂を移築し、禅宗七堂伽藍の一つとしました。

法堂正面に見える「選佛場」の額は、雲水が座禅修行するための禅堂であった名残です。

 

法堂の前を南へ向かいます。

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正面に見えているのが嵐山です。嵐山の方へ向かいます。

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駐輪場がありますので、その横を道なりに西(右)へ向かいます。

 

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右手に宝厳院の門がありますが、出口となりますので、もう少し南へ進みます。

 

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道の左側には何やらたくさんの仏像群が…

 

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表情やポーズが妙にリアルで、ちょっと異様な雰囲気です。

調べてみると、「嵐山羅漢」と言って宝厳院が管理しているようです。羅漢とは釈迦の弟子の中で最も位の高い弟子に与えられる称号のようなものです。

この嵐山羅漢は「先祖供養」「嵐山の守護」「企業の繁栄祈願」の思いをこめて、宝厳院へ申し込めば建立奉納できるそうです。

 

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嵐山羅漢の向かいぐらいに宝厳院の山門があります。背景となる嵐山の自然と調和した素朴な佇まいです。宝厳院は春と秋の特別公開の時期以外は、通常非公開です。特別公開の期間など詳細は宝厳院の公式サイトをご確認ください。

 

 

宝厳院とは

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大亀山 宝厳院(だいきさん ほうごんいん)は、臨済宗天龍寺派大本山天龍寺塔頭寺院です。室町時代細川頼之によって、天龍寺開山夢窓礎石より三世法孫(ほうそん 仏教における孫弟子)にあたる聖仲永光禅師を開山に迎え創建されました。

創建時は、現在の京都市上京区京都御所の北側)にあり、広大な境内を有した寺院でしたが、応仁の乱(1467~1477年)により京の都は灰燼と化し、宝厳院もまた焼失します。天正年間(1573~1591年)に豊臣秀吉が再建しましたが、その後天龍寺塔頭弘源寺境内に移転後、2002年に現在地(旧塔頭 妙智院)に移転再興しました。

さきほど宝厳院は旧塔頭 妙智院の場所に移転したと書いた通り、この庭園はもとは妙智院の庭園として、室町時代、妙智院の第三世、策彦周良禅師によって作庭されました。嵐山を借景として巧みに取り入れ、また「獅子岩」等の巨岩を配した借景回遊式庭園であり、江戸時代の京都の名所名園を収録した『都林泉名勝図会』にも妙智院の庭園として掲載されています。

 

それでは宝厳院へ入っていきましょう。

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山門にある受付で拝観料を払い入山します。今回は庭園のみの拝観としましたが、本堂も参拝したい場合は、別途本堂拝観料が必要です。

 

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境内の紅葉はまだごく一部が色づいている程度のようです。

 

宝厳院庭園(獅子吼の庭)とは

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「獅子吼(ししく)の庭」は、室町時代に中国に二度渡った禅僧、策彦周良(さくげんしゅうりょう)によって作庭され、嵐山の景観を巧みに取り入れた借景回遊式庭園です。「獅子吼」とは「仏が説法する」という意味で、庭園内を散策し、鳥の声、風の音を聞くことによって、人生の真理、正道を肌で感じ、心が癒される庭とされています。

天龍寺の曹源池庭園と同じく、「龍門瀑」の表現が引き継がれています。龍門瀑とは中国夏朝の高弟 禹がその治水事業において山西省黄河流域にある竜門山を切り開いてできた急流のことです。中国の故事にある「登竜門」の由来である「鯉が三段の滝を登って将に化す様」を表現しており、鯉が死を賭してまで龍になるべく努力する様子にならって、修行僧が観音の知恵を得る(悟る)まで、努力しなければならないことを借景回遊式庭園の中で表現しているそうです。

この庭は多くの巨岩、二百数十本のモミジ、春は新緑、秋は紅葉、また一面の苔の緑の美しさは京都随一と言われています。

 

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庭園に一歩足を踏み入れると、色づき始めた木々の色と苔庭が、静寂の中で色鮮やかに調和した世界が広がっています。

三尊石と苦海

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三尊石とは彼岸(悟りの世界)に降り立った釈尊文殊菩薩普賢菩薩の三尊佛を現します。

 

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苦海とは、現世すなわち人間界を現し、此岸(迷いの世界)にいる人間のみならず獣たちにいたるまで、仏の佛徳(佛心)をあやかるべく、人間は舟石に乗り彼岸に渡り、佛の膝下に参じます。獣たちが泳いで苦海を渡る姿が獣石群(十二支)です。

 

龍門瀑

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三尊石の左に組まれた石積みは、中国の黄河中流にある滝で激流を登り切った鯉が龍になるという伝説の登竜門を表しています。禅宗の修行僧の心の支えであり、修行の励みのシンボルです。滝壺の鯉が、滝を登り龍になるための修行のさまを表現しています。

 

碧岩

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碧岩は2億年前の海底に堆積した微生物やプランクトンが水圧で圧縮されて出来た「岩石(チャート)」です。非常に硬い岩石で、河川で流されて運ばれる中で、その硬さのために最後まで削られずに残りやすいことから、河原の石ころや地層中の礫岩層の礫の中でも最も多く見られる岩石種です。京都市内では、渡月橋のあたりを流れる大堰川上流、有栖川上流、龍安寺の山手より産出されるそうです。パワーストーンのマニアがパワーを授かりにリピーターとして通年訪れているそうです。このことは帰宅して碧岩のことを調べていてわかったので、そんなにパワーがある石なら、触ってその力をチャージして来ればよかったなあ、とちょっと残念な気分でした。

 

獅子岩

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碧岩と同じ石質の「岩石(チャート)」であり、獅子の顔のような形をしていることから獅子岩命名されたそうです。寛政11年(1799)発行の「都林泉名勝図鑑」にも記載されています。

獅子の名がつく通り、全体的に苔むした巨岩は非常に迫力がありますが、静かな庭園の中で苔庭とあまりにも一体化していて、地図で見て探さないと見過ごしてしまいそうでした。

 

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獅子岩の裏手にある方豊丸垣。竹の小枝を下向きに重ねた垣で、耐久性を増すために上部に屋根をつけたのがオリジナルで、宝厳院垣と呼ばれるそうです。

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こちらがオリジナルの宝厳院垣。獅子吼の庭の入口付近を囲っています。山門を入って、庭園までの参道右手にあります。

 

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まだ色づき始めのモミジです。見ごろとなる11月下旬には庭園全体が燃えるような赤い色に染まり、嵐山一の紅葉スポットと言われているそうです。


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山門を出て出口までの道は両側にモミジの木が並んでいて、もみじのトンネルと名付けられています。今はまだ一部のみ紅葉していますが、見ごろになると圧巻の紅葉で真っ赤に染まるそうです。

 

宝厳院では、2021年は11月13日(土)~12月5日(日)の間、午後5時30分から午後8時30分の時間限定で「獅子吼の庭」の夜間特別拝観が行われます。

日中の鮮やかな紅葉とはまた違った。夜間での静寂かつ艶やかな紅葉が織りなす幻想的な景観が楽しめます。

 

嵐山は人気の観光地なのに、夜間は早く閉まってしまう所が多いです。そのため嵐山での秋のライトアップは、この宝厳院と嵯峨野トロッコ列車が線路脇のモミジのライトアップがあるぐらいなので、かなり貴重です。

 

冬になると「京都嵐山花灯路」が2021年は12月11日(金)~20日(日)17時~20時30分まで開催される予定です。こちらは嵯峨嵐山一帯で行われ、宝厳院でも夜間拝観が行われていますのでお楽しみに!

 

宝厳院は小さな寺院で、普段は非公開のため、気を付けていないと見落としてしまいそうですが、天龍寺の近くにあり、獅子吼の庭の美しさは必見です。春と秋、そして冬の花灯路の時期に嵯峨嵐山を訪れた折りには、是非一度足をお運びください。

 

 

嵯峨嵐山周辺には他にもおすすめスポットがたくさんあります。

 

渡月橋の西にある日本画の美術館二館↓

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嵐山の断崖に建つ絶景寺院 大悲閣千光寺↓

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天龍寺の西にある絶景スポット亀山公園↓

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小倉山のふもとの日本で唯一の髪の神社 御髪神社

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奥嵯峨の竹林に佇む祇王寺

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