京都おすすめ散歩道

定番から穴場まで京都のお散歩コースを地元民の視点からご紹介

嵐山の断崖に建つ絶景寺院「大悲閣 千光寺」

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嵐山の喧騒から離れ、渡月橋南端から1キロほど上流に行った山の上に嵐山の美しい自然を心ゆくまで堪能できる穴場中の穴場の絶景スポット、大悲閣千光寺があります。
観光客でごった返す嵐山の神社仏閣や竹林、お土産のショッピングも楽しいものですが、それらとは全く違った嵐山の自然の素晴らしさを味わえます。

大悲閣千光寺は、江戸時代の豪商、角倉了以(すみのくらりょうい)が、大堰川を開削する工事で亡くなった人々をとむらうために、嵯峨の清凉寺近くにあった千光寺を、移転し建立させたものです。源信の作といわれる千手観音菩薩を本尊としています。境内にある大悲閣は、大堰川の切り立った岩肌に建つ観音堂で、嵐峡の絶景を眺める事ができます。

大悲閣 千光寺の場所
大悲閣千光寺
075-861-2913
https://maps.app.goo.gl/83HG2kJTo17vCc7s9

京福電気鉄道嵐山駅より徒歩19分
JR嵯峨嵐山駅より徒歩27分
阪急嵐山駅より徒歩20分

今日のスタートは京福電気鉄道嵐山駅。
まん延防止等重点措置が適用された京都は、春休みも終わって観光客が激減しました。
京福嵐山駅前も人陰はまばらです。
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嵐山のメインストリート長辻通りも観光客はパラパラ程度。
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渡月橋もほとんど人が歩いていません。
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渡月橋を渡って、更に渡月小橋も渡り切って西へ曲がると、「大悲閣(千光寺)」の案内板が。
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星のや京都への送迎屋形船の上り桟橋
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屋形船で宿へ向かうなんて風流ですね~
そのまま進むと嵐山モンキーパークの入口です。
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観光シーズンは、船の上でお食事が出来る観光船も、今は休業中。
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川沿いの道を進むと「史跡名勝嵐山」の看板。
千年も前から嵐山の紅葉は王朝貴族に親しまれていたそうです。また嵐山が桜の名所として知られるようになったのは、後嵯峨上皇吉野山の桜を嵐山に移し植えられたことからだそうです。
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千光寺への道中、英語での手作り案内板があります。コロナ以前は、日本人よりむしろ外国人観光客の方が訪れる人が多かったという千光寺。
秘境のような景色の素晴らしさ、海外の参拝客にオープンなご住職のお人柄もあり、海外の口コミサイトでじわじわと話題になっているのが理由だそうです。
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奥へ進むほど、緑は濃く、静けさは増し、鳥の声と風にそよぐ木々のさざめきだけに包まれてゆきます。
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嵐山の標高は382メートルとさほど高くはないものの、40度の急斜面。落石注意の看板があちこちに設置されているように、崖崩れも度々起こっているそうですので、天候の悪い時は近づかない方が良さそうです。
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Great View(絶景)の看板も点在。
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坂道を登って下ると、川岸が開けた場所に出ます。この静けさ、川の色の碧さに、心まで透明になりそうです。
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川沿いの道の終着点に「星のや京都」の門があります。そのすぐ隣に、大悲閣千光寺の入口があります。さっそく上がっていきましょう。
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ここにも絶景(GRAET VIEW)の看板が。入山料400円です。
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入口の左手に、松尾芭蕉の句碑「花の山 二町のぼれば大悲閣」が。江戸時代も、嵐山は桜が綺麗だったんでしょうね。
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ここからしばらくつづら折れの石段が続きます。
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10分ほど上ると山門です。拝観料400円ですが、この奥の鐘は無料で撞けます。
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鐘は一人三回まで撞けます。山に鐘の音が響き渡り、厳かな気分になります。
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階段を上り切ると、断崖に小さな「清水の舞台」のような客殿が。この写真は大悲閣を向かい側から撮った写真です。
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気さくと評判の住職は今日はご不在だったようで、女性のスタッフの方から拝観の受付と説明を受け、崖の上に立つ客殿の中へ。畳の部屋には様々な資料が並び、気に入った資料のコピーは自由に持ち帰って良いそうです。そして客殿の奥には嵐山の絶景が広がっています。
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眼下には保津峡、桜の季節は終わり清々しい新緑の風景が広がります。
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京都市街が一望できます。遠く霞んで見える山は比叡山。写真には写っていませんが、京都タワーまで見渡せました。京都は高い建物が少ないので、少し高い所に登るとどこからでも京都タワーが見えます。
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客殿から周囲の緑を見渡していると、聞こえるのは鳥の鳴き声と風のそよぐ音だけ。ずっとここで聞いていたくなります。実際に、座禅を組んだり写経をしたり、座敷で昼寝をしたりして、一日中ここで過ごす人もいるそうです。
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雑記帳がたくさん置いてありました。英語や中国語での記述もあり、外国人訪問客の多さを実感しました。去年はコロナ禍で学校が休校になった時期もあり、地元の小学生の記述も。皆さん、思い思いに楽しんでおられたようです。
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ご本尊の千手観音の隣には、この千光寺を嵯峨野からこの地へ移した角倉了以像が。了以は晩年、この大悲閣で過ごしたそうです。
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最後に、女性のスタッフの方からもう一度お話を伺いました。最近はコロナ禍の影響か、心に悩みを抱えた若い方の訪問も多いそうです。嵐山の雑踏とは全く別世界のような、ゆったり流れる時間を味わううちに、疲れた心を癒して帰って行かれるのかもしれませんね。
悩みのある方も無い方も、緑あふれる大悲閣千光寺で心洗われるひとときを過ごしてみませんか?

京福電気鉄道嵐山駅から徒歩の往復で2時間弱でした。
道中、石段や舗装されていない所もあるので、歩きやすい靴でお越し下さい。