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錦秋の嵯峨嵐山めぐり ④祇王寺

嵯峨嵐山周辺は毎年テレビなどで特集が組まれるほどの紅葉の名所です。天龍寺渡月橋周辺の紅葉が美しいのはもちろんですが、今回はそこから徒歩15分ほどにある紅葉の名所をいくつかご紹介しています。

今回ご紹介するのは、前回訪れた二尊院から徒歩5分ほど、奥嵯峨にひっそりと佇む祇王寺です。

(昨年11月末に訪ねた時の記録です。だいぶ季節外れですが、次のシーズンのご参考にお読みいただければ幸いです)

 

 

祇王寺の場所

goo.gl

 

祇王寺の行き方

・電車で

 ①JR嵯峨野線

   「嵯峨嵐山駅」下車 徒歩25分

 ②京福電気鉄道

   「嵐山駅」下車 徒歩25分

 

・市バスで

 ①四条河原町から

  市バス11番(山越中町行)乗車(約50分)

  「嵯峨小学校前」下車 徒歩17分

 ②四条烏丸(阪急烏丸駅)から

  市バス91番(大覚寺行)乗車(約45分)

  「嵯峨釈迦堂前」下車 徒歩15分

 ③阪急嵐山駅から

  市バス28番(大覚寺行)乗車(約10分)

  「嵯峨釈迦堂前」下車 徒歩15分

 

今回のスタートは二尊院です。

 

二尊院については以下で詳しくご紹介しています。

www.yomurashamrock.me

二尊院の総門の前の道を北へ向かいます。

 

 

突き当りを西(左)へ曲がり、道なりに進みます。

 

ゆるやかな坂道を上っていきます。

 

左へ曲がります。

道が二手に分かれていますが、カエデの木の下の案内板に従ってまっすぐ進みます。

 

更に坂道を70mほど上って行きます。

 

坂道を上り切ったところが祇王寺です。カエデの赤と苔やシダの緑、それらを引き立てる石の階段の色が、つつましやかで何とも言えない風情を醸し出しています。

 

この日は雨上がりだったので、参道左手の散紅葉もしっとり濡れて色が冴えています。

 

苔むした茅葺の門の上にも散紅葉の赤が映えてとても美しいです。

早速入って行きましょう。

 

祇王寺とは

祇王寺は往生院祇王寺と号する真言宗の寺院です。寺伝によれば、この地は平安時代に開創し、後に祇王寺と呼ばれるようになったそうです。

 平家物語によれば、祇王平清盛に寵愛された白拍子でしたが、若い仏御前の出現により清盛の心が離れてしまったので、母刀自(とじ)、妹祇女と共に出家し、当地に移り住みました。後に「いつかわが身も同じ運命」と悟った仏御前も旧怨を捨てた祇王母子に加わり、4人で念仏三昧の余生を送ったと伝えられています。

 現在の本堂は、明治28年(1895)に再建されたもので、堂内には、本尊大日如来像をはじめ、平清盛祇王ら四人の尼僧像を安置しています。

 

受付を済ませた先の小さな入口付近には、大きな松ぼっくりと赤い実で作られた可愛らしいオーナメント?が迎えてくれました。

 

紅葉の錦に包まれる庭園

こじんまりとした庭園は見ごろの紅葉と散紅葉で錦のような美しさでした。

 

順路に従って一旦、この茅葺の門を出て左へ進みます。この茅葺の門にも散紅葉が模様を描くように広がっていて絵になりますね。

 

 

小さな庭園ですが、見る角度ごとに違った美しさが楽しめます。

 

草庵

境内奥にひっそりと佇むかやぶき屋根の草庵。中には祇王、祇女、刀自、仏御前ら五人の木像が安置されている仏間があります。

 

吉野窓

草庵は靴を脱いで自由に上がることが出来ます。写真左手の仏間には、祇王、刀自、仏御前ら四人とその間の支柱の影には平清盛の像も隠れるように安置されています。

 

草庵の奥の間の大きな窓を吉野窓と言います。境内の木々を通って差し込む日差しが障子に色とりどりの色彩を映し出すことから「虹の窓」とも呼ばれています。窓からの景色ももちろん美しいのですが、部屋から眺めるこの窓自体が幻想的な光を放っています。

 

嵯峨菊

草庵の入口付近に、少し変わった菊の鉢植えがいくつか飾られていて華やかな雰囲気でした。この菊は嵯峨菊というそうです。嵯峨菊は、肥後菊、江戸菊などとともに日本を代表する古典菊の一つで、嵯峨天皇の御代、大覚寺大沢池に浮かぶ菊ヶ島に自生いていた野菊を、嵯峨天皇がその気品ある姿と香りを好まれ、永年にわたって洗練したものです。

一鉢に3本立てで高さは約2m、これは殿上から鑑賞されるために高く育てられているそうです。

花弁は平弁で54弁、長さ約10㎝が理想とされ、花色は「御所の雪(白)」「御所の秋(黄)」「御所の錦(朱)」「御所の春(桃色)」などの単色が多く、あまり混色しません。細い管状の花弁か風にたなびく様はとても優美ですね。

 

さて、なぜこの嵯峨菊が祇王寺にあるか?ということですが…

実は大覚寺祇王寺には深い関係がありました。

祇王寺は昔の往生院の境内にあり、往生院は法然上人の門弟良鎮によって創建されたと伝わっています。山上山下にわたって広い寺域を占めていた往生院も後年は荒廃し、ささやかな尼寺として残り、後に祇王寺と呼ばれるようになりました。

祇王寺墓地には祇王の墓があります。

明治初年に祇王寺は廃寺になりましたが、残された墓と仏像は旧地頭の大覚寺によって保管されました。大覚寺門跡の楠玉諦師はこれを惜しみ、再建を計画していました。その時、元京都府知事北垣国通氏が祇王の話を聞き、明治28年(1895)に嵯峨にあった別荘一棟を寄付されました。これが現在の祇王寺の建物です。これらの関係から、祇王寺真言宗大覚寺派の寺院で、旧嵯峨御所大本山大覚寺塔頭寺院ともなっているのです。

 

大覚寺については以下で詳しくご紹介しています。

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宝篋印塔

草庵を出て更に山側へ石段を上った先に、宝篋印塔があります。向かって左の宝篋印塔が祇王、祇女、刀自のお墓で、右の五輪塔平清盛の供養塔で、いずれも鎌倉時代に作られたものだそうです。時の権力者に翻弄された悲恋の物語の主人公たちも、今はみな仲良くこの地を見守っているのですね。

 

祇王寺は何度も訪れており、紅葉の名所ということも知っていたのですが、紅葉の時期に訪ねたのは今回が初めてでした。小さいながらも名所の名にふさわしい見事な紅葉に、頑張って坂道を上ってきた甲斐があったと思いました。観光客で賑わう渡月橋付近から少し距離があるおかげか、ハイシーズンでも参拝者はそれほど多くはありませんでした。大覚寺塔頭寺院ということで、一緒に参拝すると拝観料が少しお得になるそうです。大覚寺からは徒歩20分余りと結構な距離がありますが、趣きの違った二つの寺院を比較しながら参拝するのも面白いかもしれません。

祇王寺は小さいながらも四季折々の美しさが楽しめ、心がほっとするスポットですので、嵯峨嵐山観光の目的地の一つに加えてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

祇王寺については以下でもご紹介しています。

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嵯峨嵐山周辺の見どころを以下でもご紹介しています。

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