伏見稲荷大社と言えば朱塗りの鳥居が無数に続く千本鳥居があまりにも有名ですが、その千本鳥居をほんの少し横道に逸れた山道の先にあるのが「伏見神宝神社(ふしみかんだからじんじゃ)」です。伏見稲荷の境内に隣接しているものの摂社や末社ではないため、伏見稲荷の案内図にはその存在が記載されておらず分かりづらいのですが、今年の干支 辰年にちなみ、龍に深い縁のある神社と知り訪ねてました。
- 伏見神宝神社の場所
- 伏見神宝神社の行き方
- JR稲荷駅からの行き方
- 伏見神宝神社とは
- 狛龍が護る拝殿
- 龍頭社
- 稲荷山遥拝所と磐境(いわさか)
- その他の摂社・末社
- おもかる石
- 叶雛(かなえびな)
- 龍みくじ
- 竹之下道
伏見神宝神社の場所
伏見神宝神社の行き方
電車で
バスで
JR稲荷駅からの行き方
今回のスタートはJR稲荷駅です。JRと並行して京阪電鉄も西側を走っており、京阪の駅は「伏見稲荷駅」です。JRの駅の方が伏見稲荷には近いです。
改札を出ると、ほぼ正面が伏見稲荷大社です。
正月三が日を過ぎた平日の午前中ですが、すでに多くの参拝客で賑わっていました。
本殿は人が多すぎたので写真を撮っていませんが、お詣りしてから本殿左奥の鳥居をくぐり、千本鳥居へ向かいます。
階段を上り切ると、「千本鳥居」の案内表示があるのでそれに従い右側の鳥居へ向かいます。
この鳥居をくぐった先の階段を上がり、右へ進みます。
千本鳥居の入口です。多くの参拝者がこの写真を撮影するのに順番待ちしていました。(私もその一人(笑))
しばらく進むと、下の写真のように千本鳥居は二列に分かれています。昔はどちらを通っても良かったそうですが、現在は混雑対策として、右側通行になっています。
千本鳥居をしばらく進むと最初に鳥居が途切れた先にあるのが奥社法奉拝所(①)です。
(境内地図は伏見稲荷大社の公式サイトから拝借しました)
奥社奉拝所は一般的には「奥の院」と呼ばれています。この奥社奉拝所はお山を遙拝するところで、稲荷山三ケ峰はちょうどこの社殿の背後に位置しています。私が訪れた時はこの拝殿は白いテントのようなものに覆われていました。
奥社奉拝所の手前の左側にある千本鳥居を進みます。写真左下の「根上りの松」(地図②)の案内が目印です。
千本鳥居を10mほど進むと、数mだけ鳥居が途切れた参道の右手、「根上りの松」の向かい側あたりに神宝神社の案内板があります。「徒歩2分」と書かれています。
千本鳥居を進む人の波にのって油断していると通り過ぎてしまうので、右手に注意しながら歩いてください。
案内板に従って右へ曲がり、舗装されていない登山道のような道を登って行きます。
すっかり山道です。
2分ほど歩くと、石の鳥居が見えてきます。伏見神宝神社に到着です。
伏見神宝神社とは
伏見神宝神社の創建は平安初期、かつては稲荷山山上にまつられていたそうですが、応仁の乱以降荒廃し、昭和32年(1957)現在の場所に再建されました。
主祭神として天照大神、稲荷大神、十種神宝(とくさのかんだから)を祀り、社名の神宝は十種神寶(寶は旧字体の宝)に由来します。
この十種神宝とは沖津鏡、辺津鏡、八握剣、生玉、足玉、死反玉、道反玉、蛇比礼、蜂比礼、品品物比礼の十種を総称し、瑞の宝(みづのたから)とも言います。
祝詞に「布留部由良由良、玉響かして死れる人も反りて生きなん(困ったことがあったら、この宝をゆらゆらと振るわせなさい。痛みや苦しみが消え去り、死んだ人をも生き返ることでしょう)」とあるように、神宝は病める者への加持祈祷に、そして鎮魂祭の古儀の中で用いられてきたものだそうで、まさに最強の神器だそうです。
狛龍が護る拝殿
さっそく境内に入ると、正面に拝殿があり、「神寶宮」の扁額が掛かっています。その前には、狛犬ならぬ左右一対の狛龍が拝殿を護っています。
向かって左が「地龍」、右が「天龍」で、天龍はあらゆる願いをかなえてくれるという「如意宝珠」を持っています。
龍頭社
境内にはいくつかの摂社が軒を連ねており、拝殿の向かって左側にあるのが龍頭大神をまつる「龍頭社」です。こちらは稲荷山の地主神と言われ、龍頭を「りゅうず」と読み、西陣織の横糸をかける金具を意味することから衣を守護する神でもあります。
また、龍頭大神は「竹取物語」にも由来するご祭神とも言われています。かぐや姫が求婚者の一人大伴の大納言に「龍の頸に五色に光る玉あり、それをとりて給へ」と難題を出した、その五色に光る玉を持つ龍が、この龍頭大神だそうです。
お社の横には水の中から頭を出している龍の像(龍頭)があり、頭を撫でて祈ると願いを叶えてくださるとか。
稲荷山遥拝所と磐境(いわさか)
境内を更に奥へ進むと、ちょうど拝殿の真後ろあたりにあるのが稲荷山遥拝所です。朱塗りと、国内でも珍しい竹の鳥居が二重に立つその下には、俗名タケノコ石という磐境(神の降臨石)が祀られています。こちらから一直線上に稲荷山の一の峰があり、稲荷山の神様に通じる場所とされているそうで、境内でも特に強い気を放つパワースポットなのだそうです。
稲荷山遥拝所の鳥居の左横には「かぐや姫」のゆかりの地であることを顕彰する石碑もありました。
その他の摂社・末社
その他、伏見神宝神社の摂社、末社として以下のお社があるようですが、具体的にはよくわかりませんでした。
「底津岩戸社」大宮能女命:一説には天の鈿女(あまのうずめ)と同格の大変芸能に堪能で人気を呼ぶ神様を祀っているそうです。
「布留社」白菊大神とも呼ばれ、昔は五条通にあった小さな祠が道路拡張のため無くなってしまったことを惜しみ、この地に遷宮されたそうです。大和の布留社(石上神宮)と地下水脈でつながり、白い布が流れついたという伝説があるそうです。
おもかる石
伏見稲荷大社の奥の院にある「おもかる石」はいつも大人気で行列が出来ていますが、こちら伏見神宝神社にも「おもかる石」があります。
竜の頭を象った何とも愛嬌のあるおもかる石ですね。
石の横にある「おもかる石の占い方」によると
①一礼
②願いをかけて「軽くなってください」と願い、石を持つ
③(その)結果(自分の予想より)軽く感じたら、その願いは叶う
というものです。
こちらのおもかる石で今年の願い事が叶うか運試しするのもいいかも。
叶雛(かなえびな)
千代紙を人の形に折った「叶雛」は、内側に願い事と名前を書いて奉納し、祈願します。カラフルで美しい千代紙から自分の好みの柄の千代紙を選ぶのも楽しいですね。
龍みくじ
社務所では叶雛でけでなく、御朱印、お札、絵馬やおみくじなど様々な授与品があります。私は辰年にちなみ、龍を象ったおみくじを授与していただきました。
竹之下道
伏見神宝神社の鳥居の前を通り過ぎて少し奥へ進むと「竹之下道」があります。嵯峨嵐山の竹林とはまた違った趣の美しい竹に囲まれたこの道からも稲荷山のお山巡りが出来るそうです。私がすれ違った参拝者はほとんどが外国人でした。日本人はほとんど歩いていないのに、皆さんよくご存じだな、と感心しました。
京都でも最大の参拝者数を誇り一年中賑わう伏見稲荷大社の境内地に隣接しながら、美しい竹林に囲まれた静謐な空間にある伏見神宝神社ですが、実は最強のパワースポットでした。十二支の中で唯一空想上の生物である龍は、天に昇る様子から成功や発展の象徴として、縁起が良いとされています。新しい年が良い一年となるよう、神のお使いであるたくさんの龍に護られた伏見神宝神社へ参拝してみませんか。
この他にも龍にちなんだ寺社をご紹介しています。