阪急嵐山線で嵐山駅から一駅、松尾大社駅から徒歩10分ほどのところにある梅宮大社。神苑という名の池泉式庭園は広さ10,000㎡、梅宮の名の通り梅が60種600本、そのほかにも池にはアヤメやカキツバタ、ハナショウブ、スイレンが植えられているほか、アジサイやツバキ、キリシマツツジなどたくさんの花木が植えられ、1年を通じて季節の花が参拝者の目を楽しませてくれます。6月に入りアジサイやハナショウブが見ごろを迎えていると思い訪ねてみました。
梅宮大社の場所
梅宮大社の行き方
電車で
バスで
梅宮大社への行き方は以下のブログで詳しくご紹介しています。↓
今回のスタートは、阪急嵐山線の松尾大社から東へ徒歩10分、四条通を北へ140mほど上がった所にある梅宮大社の鳥居です。
堂々とした朱塗りの鳥居です。
鳥居をくぐると、随身門があります。三間一戸の楼門で、入母屋造、屋根は本瓦葺で文政11年(1828)再造営されたと言われています。酒造りの守護神を祀る神社なので、楼門の二階に酒樽が並んでいるという珍しい姿です。
梅宮大社とは
梅宮大社は京都でも有数の古い歴史のある神社です。詳細は不明ですが、奈良時代には政治家であった橘諸兄(たちばなのもろえ)の母 県犬養三千代(あがたのいぬかいみちよ)(橘美千代)によって、現在の京都府綴喜郡井手町(山城国相楽郡井出荘)に創建したのが始まりと言われています。平安時代の初めに、その神を橘氏の氏神として橘嘉智子(檀林皇后・嵯峨天皇の后)が現在地あたりに移したと言われ、皇室外戚神として天皇家から崇敬されました。
本殿では酒解神(さかとけのかみ)、大若子神(おおわくこのかみ)・小若子神(こわくこのかみ)・酒解子神(さかとけこのかみ)の四座を御祭神とします。酒解神の御子・酒解子神は大若子神との一夜の契りで小若子神が生まれたことから、歓喜して、狭名田の稲をとって天甜酒(あめのうまさけ)を造り飲んだという神話から、古くから安産と酒造の神として有名です。
現在の社殿のうち、本殿・拝殿・楼門・境内社の若宮社・護王社の5棟は江戸時代の造営であり、京都府登録文化財に登録されています。
さらに、庭園はカキツバタやハナショウブ、アジサイの名所として知られるほか、ウメ、ヤエザクラ、ツバキ、ツツジなども大変美しいと言われています。
それでは、中へ入って行きましょう。
拝殿
随身門を入って真正面にあるのが、拝殿です。桁行三間・梁行三間の入母屋造で、妻入、屋根は銅板葺です。文政11年(1828)再造営されたそうです。
本殿
拝殿の奥にあるこちらが拝所と回廊で、その奥に本殿があります。三間社流造で、屋根は檜皮葺です。現在の本殿は元禄13年(1700)に造営されたと言われていますが、何回か再建されているようです。
拝殿の左手にあるのが手水舎です。最近はコロナの影響で花手水をしつらえてある寺社も多いですが、こちらはオーソドックスな手水舎です。横にはお酒の神様らしく、酒樽が並んでいます
手水舎の右横の社務所に庭園への入苑受付があります。
猫神社
梅宮大社は京都の猫神社としても知られています。動物写真家 岩合光昭さんも訪ねられたそうです。
写真のように、社務所の窓口の真ん前でお昼寝している姿もしばしば見られます。ご住職が猫に「ちょっと、のいて(どいて)や~」と優しく話しかけられ、そんな微笑ましいやり取りを眺めるのも楽しいものです。
ここ数年は、この猫たちを目当てに訪れる参拝者も多いそうです。
神苑
社務所で猫たちに癒されながら、神苑の拝観料を納めたら、早速中へ入って行きましょう。京都府の有形文化財に登録されている本殿や楼門など社殿の多くが元禄年間に復興されましたが、現在の東神苑にあたる部分も、この時期に最初の整備がなされたようです。現在、神苑は本殿の東、北、西の周囲三方を囲むように配されていますが、東神苑は江戸時代には現在の半分ほどの広さでした。明治から大正にかけて拡張され、さらに昭和40年代後半に池の改修とともに北神苑や西神苑の整備が行われ、現在の姿になりました。
拝殿の東側(右手)に神苑の入口があります。
神苑入口から入ると正面にあるの東神苑には、ご祭神である酒解子神の別名 木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)にちなんで咲耶池(さくやいけ)と名付けられた池を中心に、池の周囲にはカキツバタ、ハナショウブ、キリシマツツジなど多くの草花が植えられています。
この日はハナショウブが満開でした。
アヤメ? カキツバタ? ハナショウブ?
ところで、梅宮大社の池のほとりで初夏に咲いている花に「アヤメ」「カキツバタ」「ハナショウブ」がありますが、とてもよく似ていて、私も違いがよくわかりませんでした。5月に訪れた時は「アヤメ」が見ごろ、と公式サイトに記載があったので、「これがアヤメなのか~」と思っていました。今回は「ハナショウブ」が見ごろとありました。そこで、見分け方を調べてみました。
見分け方その1「花びらの付け根」
まず、花びらの付け根を見てください。見分けるサインは以下の通りです。
アヤメ…網目状
カキツバタ…白い筋
ハナショウブ…黄色
見分け方その2「育つ場所」
あやめ…陸地
カキツバタ…水の中
池や沼地など常に水のある場所で育ちます。
ハナショウブ…水辺
水の流れに沿うように、菖蒲が群生して咲く姿がよく見られますね。
見分け方その3「咲く時期」
カキツバタ…5月中旬
アヤメ…5月中旬~下旬
ハナショウブ…6月~7月中旬
カキツバタとアヤメが咲き始めるのは5月中頃で、やや遅れるようにして、ハナショウブが咲き始めます。ちょうど梅雨の今頃なので、アジサイと一緒に楽しむこともできます。
見分け方は分かりましたが、アヤメは漢字で書くと「菖蒲」なんですね。本当にややこしいです😢
「何れ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)」という言葉の通り、アヤメとカキツバタはよく似ていますし、さらにハナショウブも入ると、もう何が何だか…。実はこの3つとも「アヤメ科アヤメ属」の仲間なんだそうです。似ているのも当たり前ということですね。違いはどうあれ、いずれも蒸し暑い日本の初夏を彩る姿が私たちの心を爽やかにしてくれる花たちですね。
スマホのカメラではうまく撮影できなかったのですが、咲耶池ではスイレンも咲いていて、ハナショウブとともに咲き競うようでした。
梅宮大社は嵐山からほど近いものの、京都でも少しマイナーな神社で、観光客でごった返すということもありません。それでも、この美しい神苑のおかげか、いつ訪れても散歩や写真撮影を楽しまる方がおり、地元の人にとても愛されているなあと感じます。
徒歩圏内に松尾大社もありますので、機会があれば是非一度足をお運びください。
次回は北神苑~西神苑を巡り、ハナショウブに縁どられた勾玉池や、多種多様なアジサイをご紹介します。