京都市街地の北部にある京都府立植物園は、大正13年(1924)に開園した日本で最古の公立総合植物園です。24万㎡(甲子園球場約6個分)という広大な敷地に、約12,000種もの植物が植えられ、四季折々の植物を鑑賞することが出来ます。
私も何度も訪れているのですが、たまたまバラが咲いていない頃ばかりだったので、今年こそはバラ園を見たい!と思い、バラが見ごろのこの時期に訪ねてみました。
京都府立植物園の場所
京都府立植物園の行き方
電車で
または「北大路駅」下車3番出口を東へ徒歩約10分
京阪「出町柳駅」から
市バス1系統または京都バス「静原」「市原」行きに乗り
「植物園前」下車徒歩約5分
今回のスタートは地下鉄「北大路駅」です。「北山駅」からの方が近いのですが、今回の目的地である「ばら園」や「あじさい園」「はなしょうぶ園」は北大路駅から近い正門から入った方がわかりやすいので、北大路駅からの行き方をご紹介します。
北大路駅です。改札を出たら左手へ進みます。
前方左手に階段があり、3番出口を目指して階段を上がります。
近くには小学校があり、ちょうど下校時刻でしたのでたくさんの小学生に出会いました。
階段を上がり切ると、目の前は北大路通で、北大路通の向こう側には大谷大学があります。
北大路通を東(左手)へ進みます。
烏丸北大路の交差点です。このまま北大路通を東へ250mほど進みます。
人気の洋食店「グリルはせがわ」です。食事時に通りかかると、いつも行列ができていますが、この日は時間が中途半端だったので誰も並んでいません。
さらに東へ進みます。
北大路橋西詰です。バスの向こうに見えているのが北大路橋です。信号を渡ります。
北大路橋を渡ります。
北大路橋から北山方向を見た景色です。春は賀茂川の両岸の枝垂れ桜が見事なのですが、それ以外の季節でも、いつ見ても美しい自然が京都らしい景色だなあ、と思います。
北大路橋を東へ渡り、賀茂川沿いを100mほど北へ向かいます。
賀茂川?鴨川?
ところで…
京都を代表する「かもがわ」ですが、「賀茂川」「鴨川」さらに「加茂川」と色々な表記があるようです。どう違うのかな?と思い調べてみました。
京都府のホームページによると
「平安京造営の前から、ほとりに住んでいた「賀茂氏」に由来し…中略…賀茂氏の氏神をまつる上賀茂神社と出町柳付近の下鴨神社にちなんで高野川合流点より上流を「賀茂川」、下流を「鴨川」と書かれることが多いようです」
ということだそうです。ざっくり、北山や北大路付近の上流は「賀茂川」、それより下流、みなさんご存じの三条や四条付近などは「鴨川」と表記しているそうです。しかし一級河川として指定された区間全ては「鴨川」に統一されているそうです。ややこしいですね。
では先へ進みます。
右手にちらりとグラウンドが見えてきたら東(右)へ曲がります。
「京都府立大学運動場」がありますので、その手前を北(左)へ曲がります。
京都府立大学の運動場の横の並木道を道なりに北へ200mほど進みます。
京都府立植物園の正門に到着です。
正門の左手に入場券売り場がありますので、こちらで入場料を払います。
公立の植物園なので、一般の入場料は200円、高校生は150円、中学生以下と70歳以上はなんと無料です!近隣にある私設の植物園だと入場料は2000円前後なので、この安さはびっくりです。
京都府立植物園とは
京都府立植物園は、京都市街北部にあり、東は比叡山、東山連峰を望み、西には賀茂川、北は北山の峰々を背景とした風光明媚な場所にあります。
大正13年(1924)1月1日に日本初の公立植物園「大典記念京都植物園」として開園しました。第二次大戦中は園内に菜園が設けられ食料増産の場になり、戦後は12年間連合軍に接収され閉園を余儀なくされましたが、昭和36年(1961)4月に再開しました。
園内には観覧温室の他、正門花壇、はす池、ばら園など20程のエリアがあり、24万㎡の広大な敷地にテーマ別に約12万本の植物が植えられています。日本の四季の花が見られる花壇や洋風庭園、熱帯植物を集めた温室があります。北半分は半木(なからぎ)の森と呼ばれる自然に近い森を利用した生態植物園などがあります。これは当地に残された山城盆地の原植生を伺い知ることのできる園内唯一の貴重な自然林です。
正門を入ると、広々とした空間が広がります。写真中央に見えているのが、正門花壇です。一年草を中心に四季折々の花が咲きそろいます。
前方左手に見えているのは温室です。延床面積4600㎡余り、4500種類、25000本の熱帯や高山などの珍しい植物が植えられていて、こちらも見どころ満載ですが、今回は時間の関係でパスしました。また別の機会にご紹介したいと思います。温室は植物園の入場料とは別料金になります。
正門から入って右手へ曲がります。
右手へ曲がったところです。この道を奥へ進みます。
80mほど進むと、右手に「植物園会館」があります。
植物園会館の向かいでは、様々な花の苗などを販売していました。
さらに奥へ進みます。
植物園会館の端まで行くと、「二階展望テラス」の案内板があったので、案内に従って階段を登りました。
階段を登り切ったら、館内左手の「園芸サロン」という部屋へ入ります。
園芸サロンには植物に関する様々な図書のコーナーがあり、部屋で閲覧できます。
この部屋から展望テラスに出ます。
テラスからの眺めです。比叡山を背景に見えるばら園が見事です。
では、階段を降りて、ばら園へ向かいましょう。
ばら園
ばら園を入ったところです。320品種、1400株のバラが植えられているそうです。
シンメトリーな設計の庭園で、開園当初の設計を継承しています。
金閣、嵯峨野、貴船など京都にちなんだ名前のバラもたくさんありました
ばらのアーチの下にベンチがあり、ゆったり座ってばら園を鑑賞することが出来ます。
「シュシュ」ひらひらとフリルの入った花弁が可愛らしいですね。
「スヴニール・ドゥ・アンネ・フランク」アンネ・フランクに捧げられたバラで移り変わる花色と半八重の柔らかな花形が魅力です。
「ノヴァーリス」藤色の個性的なバラです。
「大原女」荷を頭にのせて京の町へ物売りに来る、京都の風物詩、大原女の華やかな立ち姿からその名がついたそうです。
「伊豆の踊子」パリと静岡県河津市の友好の証として贈呈されたバラだそうです。
マスク越しですが、辺りはバラの甘い香りに包まれ、華やかに咲き誇る沢山のバラに心癒されるひと時でした。やっぱり来て良かった~!
沈床花壇
ばら園の東隣には、周囲から一段低くなっている沈床花壇があり、噴水を中心に四季の草花が咲き誇る華やかな花壇になっています。
この沈床花壇で特に印象的なのが「アリウム・ギガンテウム」という花です。紫色の小さな花を無数につけた大きな球状の花が特徴で高さは1m~1.5mほど。球状の花序の直径は15㎝ほどです。アリウムはラテン語でニンニク、ギガンテウムは巨大なという意味だそうです。おとぎ話の挿絵に出て来そうな不思議な形の花ですね。
沈床花壇を後にして、園内を北へ進みます。
あじさい園
6月初旬だったので、まだ全てのあじさいが咲きそろっていませんが、ガクアジサイが見ごろを迎えていました。
この日は暑いくらいの晴天、「あじさいは雨に濡れている方が色鮮やかでいいな…」と思っていましたが、木漏れ日の下のあじさいも可憐で風情がありました。
植物生態園
あじさい園を後にして、北西へ進むと、植物生態園へ出ます。
植物生態園は、京都府庁100年記念として造成され、日本各地の山野に自生する植物を出来るだけ自然に近い状態で植栽されています。総面積は15000㎡、外周部は樹木林、内部や湿地や砂地など様々なエリアに分かれ、四季それぞれに懐かしいふるさとの山や川の風景が思い出される植物を見ることが出来るそうです。
はなしょうぶ園
植物生態園の南側に開けた所にあるのが、はなしょうぶ園です。
はなしょうぶは、初夏の花として親しまれ、江戸時代には各地で独特の品種が作られました。府立植物園では、群生する姿が美しい江戸系、花弁が縮れて垂れる優雅な伊勢系、大輪で豪華な肥後系など、約150品種、10000株が栽培、展示されています。
凛とした立ち姿に鮮やかな花色のはなしょうぶの群生を見ていると、この日の青空のように爽やかで清々しい気分になりました。
今回はばら園、あじさい園、はなしょうぶ園を目的に訪れましたが、四季折々の花や外国の珍しい植物も鑑賞することが出来、花の少ない冬の時期でも観覧温室では面白い熱帯植物や高山植物などもたくさんあります。地下鉄北大路駅や北山駅からのアクセスも良く、入園料も非常に安いうえ、申込不要・無料で参加できるガイドツアーも週に二回ほど開催されるなど、一年中楽しむことが出来る京都府立植物園は、本当にお散歩におすすめです。神社仏閣だけではない京都の魅力を堪能したい方は、是非一度足をお運びください。