堀川紫明を少し南へ下がったあたりにある寺社仏閣には、知る人ぞ知る隠れた桜の名所がいくつかあります。このあたりは電車の駅から少し距離があり観光地化されていないので、桜のピークの時期でもそれほど人も多くなく、それぞれ徒歩10分ほどで移動できる距離にあるので、お散歩にぴったりのコースです。
今回は水難・火難除けの「水火の天神さん」として親しまれている水火天満宮(すいかてんまんぐう)をご紹介します。
(2023年3月27日訪問)
水火天満宮の場所
水火天満宮の行き方
電車で
バスで
京都市バス 9,12,67系統「天神公園前」下車すぐ
今回のスタートは地下鉄鞍馬口駅です。
改札を出たら左へ向かいます。
左を向いたところです。紫明通へ行きたいので出口2を目指します。
奥に見えている顔段を上がります。
階段を上がり切って外へ出ました。目の前は烏丸通です。烏丸通を南(右)へ向かいます。
南へ向いたところです。烏丸通を50mほど進みます。
烏丸鞍馬口の信号を西(右)へ曲がります。
西へ向いたところです。鞍馬口通をしばらく西へ進みます。
鞍馬口通を300mほど進むと、立派な門構えの建物があります。
立て札によると「擁翆園」という庭園でした。室町幕府四代将軍 足利義持の管領細川満元が、金閣寺造営の余材をもって築いた邸宅がその始まりです。細川満元の没後、岩栖院(がんすいん)という寺に改められ、慶長15年(1610)に徳川家康から旧領地として後藤長乗(彫金師)に与えられました。長乗が加賀の前田利常や小堀遠州の助力を得て造園した庭園がこの擁翆園です。庭園は池泉回遊式で、琵琶湖を模した池の周りに、しだれ桜、花水木、紅葉、白椿など四季折々で花が咲き、趣き深い風情を漂わせているそうですが、現在は企業の本社と研究所が敷地内にあり、一般には公開されていないようです。残念…
鞍馬口通を250mあまり西へ進むと紫明通に出ますので道なりに南西へ進みます。
道なりに南西へ進むと右手に大日本スクリーンの本社があり、面している大きな通りが堀川通です。そのまま堀川通沿いを道なりに南(左)へ進みます。
堀川通を100mほど南へ進むと市バス「天神公園前」停留所があります。
バスの停留所の前が水火天満宮です。
水火天満宮とは
水火天満宮は、延長元年(923)、後醍醐天により水難・火難除けの守護神として延暦寺の尊意僧正に勅願があり、菅原道真の神霊を勧請して建立されました。以前は現在地より少し西の上天神町にありましたが、堀川通の拡張に伴って1952年に現在の場所に移転しました。地元の人には「水火の天神さん」として親しまれています。
さっそく中へ入っていきましょう。
この日は団体の会合があったようで、境内に椅子が並べられ、関係者が集まりつつありました。それとは別に満開の桜を写真に納める参拝者の姿も数人見られました。
拝殿周りを枝垂れ桜が華やかに彩ります。
三つの神石(登天石、出世石、玉子石)など
こじんまりとした境内ですが、何やらご利益がありそうな霊石や末社がたくさん並んでいます。
登天石
菅原道真公が大宰府の地で亡くなった後、都では天変地異が相次ぎ、雷火の災いが重なったことから、菅公の怨霊の祟りと不安が高まりました。当時の帝、醍醐天皇は、延暦寺の尊意僧正に祈願を依頼し、勅命を受けた尊意が延暦寺を下りて宮中へ向かう途中、鴨川が突如増水し町へと流れ込みました。尊意が手にした数珠をひともみして、天に向かい神剣をかざして祈ったところ、たちまち水位が下がり、水面が真っ二つに分かれ、一つの石が現れました。その上に菅公の神霊が現れ、やがて昇天し、雷雨もやんだということで、尊意がその石を持ち帰り供養して、登天石と名付けました。
この石に祈ると「迷子が無事に戻る」と言われています。
出世石
登天石の右横にある神石は出世石と呼ばれ、大願成就、世に出る石として信仰されています。
玉子神石
玉子神石は、元々は道真公の御愛石で、家族の出産に玉子石に安産を祈願されたとのことです。妊娠五カ月目以降にこの石に祈るとご利益があり、「子宝に恵まれない婦人がこの石に祈ると、良き子宝を得ること夥しくある」そうです。出産の際、卵のように『つるり』と生まれてくることから、玉子石と呼ばれています。
金龍水
都名水の一つで、鎮座以来、いかなる大旱(ひでり)でも渇水したことが無く、濁ることもなく水質が良好であったそうです。また、眼病を患う人が、この清水によって平癒した人が多かったと伝わる井戸水です。
六玉稲荷大明神社
六玉大明神など3社を祀る稲荷社です。元々は東本願寺の渉成園にあったものが、明治維新以前に移されました。特に縁結びの「就職祈願」「人材確保」にご利益があるとされる珍しいお稲荷さんです。
その他境内には秋葉大神、白太夫社、弁財天などの末社もあります。
水火天満宮の境内はとても小さいのですが、二本のしだれ桜は境内を覆うように大きく枝を広げ、桜のカーテンのようです。木の下に立つと桜色の霞の中にいるような幻想的な気分になります。六玉稲荷社をはじめとする末社や登天石などのご神石もあり、沢山のご利益がありそうなありがたい神社です。次回以降にご紹介する桜の名所も近隣に沢山ありますので、是非一度足をお運びください。