一年中観光客や修学旅行生で賑わう三十三間堂や京都国立博物館から徒歩数分のところにある智積院は、京都に住む人でもあまり知られていない穴場的なスポットです。長谷川等伯一門による国宝の障壁画をはじめ、利休好みの名勝庭園など文化財の宝庫なのに、なぜかいつ訪れてもあまり人がいません。
そんな智積院ですが、比較的多くの参拝者に出会うのが紫陽花の時期です。というのも、国宝の障壁画や名勝庭園は拝観料が必要ですが、紫陽花の咲き乱れる庭園は無料で拝観できるのです。まさに知る人ぞ知る紫陽花の名所で、いつもよりも少し賑わっていた智積院を皆さんにもご紹介します。
智積院の場所
智積院の行き方
電車で
・JR/京阪「東福寺駅」から徒歩約15分
バスで
・京都駅から市バス206・208・86・88・100・106・110系統で約10分
「東山七条」から徒歩3分
京阪「七条駅」からの行き方は以下のブログでご紹介しています。
今回のスタートは智積院総門です。
東山七条の交差点に面しているのが総門ですが、こちらからは入れません。総門が面している東大路通を南に下がってすぐのところが入口です。
写真:智積院公式サイトより
車で入れる広々とした入口です。
智積院とは
智積院は真言宗智山派総本山で全国に末寺約3000があります。南北朝のころ創建された紀州根来山の学頭(僧侶に学問を授ける最高指導者・今の学校長)寺院が起源です。1585年(天正13)兵火に遭い、京都に非難しました。大坂城落城後、豊臣秀吉の愛児鶴松の菩提を弔うために建立した祥雲禅寺の寺領を徳川家康が寄進し、五百佛山根来寺智積院と改め、仏教研学の道場として栄えました。明治に焼けた金堂は1975年(昭和50)に復興。江戸初期を代表する池泉廻遊式庭園は、中国の廬山を形どったといわれ、2023年4月4日オープンの宝物館には、長谷川等伯一派による桜・楓図(国宝)など極彩色の障壁画が展示されています。
入口の坂を上り左手に受付案内所があり、その右手に境内図があります。
この図で示している通り、中央奥の金堂の裏手に紫陽花園があります。
智積院と桔梗
参道には、智積院の寺紋にもなっている桔梗が咲いていました。
この桔梗紋は、秀吉の有力武将の一人 加藤清正の家紋に由来しています。
加藤清正は築城の名手として名高かったのですが、その腕を買われて祥雲寺の建立を命じられます。清正は見事に期待に応え、美しい寺院を完成させました。その功績を称える意味で、清正の家紋だった桔梗紋を智積院のシンボルとしても用いるようになったそうです。
境内のあちこちを探すと、本物の桔梗はもちろん、建物などにも桔梗の姿を見つけることができます。金堂の入口の垂れ幕や天水桶(雨水を貯める桶)などにも桔梗の紋が!
この金堂は、総本山智積院の中心的な建物で、弘法大師ご生誕千二百年の記念事業として昭和50年に建設されました。堂内には本尊大日如来の尊像が安置され、朝の勤行、総本山としての多くの法要がここで行われます。
紫陽花園
今回の目的地である紫陽花園は、金堂の裏手にあります。
左が金堂、右が明王殿です。この間の小径を奥へ進んでいきます。
60mほど進むと、紫陽花園が見えて来ました。敷石があり、その周りに紫陽花が植わっています。紫陽花園は2012年頃に整備されたそうです。
敷石に沿って奥へと進むと、金堂の裏手に出ます。こちらも紫陽花が満開です。
金堂の裏手を更に進むと、墓地があり、墓地の横の階段の脇にも沢山の紫陽花が咲いていました。
墓地横の階段を上がり切った後、Uターンして階段を降りたところに、夏ツバキと紫陽花が仲良く並んで咲いていました。
いつもは静かな智積院ですが、この日はお天気も良く、恐らく近隣の施設から来られたと思われる方(車いすを押しておられました)も多く見かけました。外国人観光客はほぼゼロで、みなさんゆったりと紫陽花を楽しんでおられました。
鐘楼堂の周辺は青紅葉が美しく、6月にしては暑すぎるぐらいの日でしたが、このあたりを吹き抜ける風は爽やかでした。
境内には紫陽花園や鐘楼堂周辺の庭園のほかにも不動明王を本尊とする明王殿、弘法大師空海の尊像を安置する大師堂など大小様々な堂宇や、明王殿沿いの池泉回遊式庭園など、無料で拝観できるスポットも多数あり、四季折々に彩る草花も迎えてくれます。少し足を伸ばせば清水寺や祇園周辺へも行けるので、オーバーツーリズム気味の京都に疲れた方は、是非智積院で静かな京都をお楽しみください。
次回は智積院から徒歩5分ほどのところにある、こちらも穴場的なイタリアンのお店をご紹介します。
東山七条から徒歩圏内にあるおすすめスポットです
修学旅行の定番、三十三間堂は目と鼻の先です
建仁寺や八坂神社へは徒歩20分余りです