立命館大学衣笠キャンパスの向かいに、ひと際目を引く個性的な建物があります。京都府立堂本印象美術館は、日本画家 堂本印象が自分の作品を展示するため、堂本印象自らデザインした美術館です自分の作品を展示するため、堂本印象自らデザインした美術館。同美術館は、金閣寺、龍安寺、仁和寺といった京都市北西部の世界遺産をつなぐ「きぬかけの道」の途上にありますが、京都市民もあまり訪れたことはないかと思います。前回ご紹介した等持院から徒歩15分ほどなので、是非一緒に訪れていただきたいと思いご紹介します。
堂本印象美術館の場所
堂本印象美術館の行き方
●JR,近鉄京都駅から
市バス50にて45分、市バス:JRバス快速立命館にて36分、「立命館大学前」下車
市バス205にて40分、「わら天神前」下車 徒歩10分
JRバス高雄・京北線にて30分、「立命館大学前」下車
●JR円町駅から
市バス・JRバス快速立命館にて8分、「立命館大学前」下車すぐ
市バス15にて10分、臨にて9分、「立命館大学前」下車
市バス204、205にて5分「わら天神前」下車、徒歩10分
JRバス 高雄・京北線にて15分、「立命館大学前」下車
市バス・JRバス快速立命館にて20分、臨にて17分「立命館大学前」下車
市バス205に15分、「わら天神前」下車 徒歩10分
市バス12にて53分、市バス15にて34分、市バス51にて36分、「立命館大学前」下車
市バス59にて40分、「立命館大学前」下車
今回のスタートは等持院です。
等持院への行き方は以下のブログをご参照ください。↓
等持院の山門です。前回のブログでご紹介した等持院の方丈や庭園を拝観した後、また山門に戻って来ました。
山門を出て斜め右手に小さな鉄の通用門があります。
こちらの門から出ます。
門を出たところです。目の前の道を北(右)へ向かいます。
北へ向いたところです。この道を北へ80mほど進みます。
立命館衣笠キャンパスに突き当たったら、西(左)へ曲がります。
左に曲がったところです。右手に見える大きな建物が立命館です。
この道を西へ120mほど進みます。
道が二手に分かれているので、北(右手)へ曲がります。
右手へ曲がったところです。道なりに左へ曲がります。
左手へ曲がったところです。この道を60mほど西へ進みます。
道が二手に分かれているので北(右手)へ曲がります。
右手へ曲がったところです。正面に見えているのが衣笠山です。この道を120mほど進みます。
右手に鮮やかなグリーンの看板があります。「CAFE山猫軒」です。
CAFE山猫軒
CAFE山猫軒は、立命館衣笠キャンパスに隣接したおしゃれなカフェです。
午前中に等持院を拝観し、結構歩き回ったのでお腹ペコペコです。今日はこちらでランチにします。
とっても美味しそうなメニューがたくさんありそうです。
お店は階段を降りて半地下に入口があります。
地下に下りてきたのに、店内は大きな窓があって明るいです。こちらのお店、坂の途中にあり、坂を上り切った所から店内に入ると、入口と反対側は坂の下の方で中庭のようになっているところに面しています。
入口付近の席は大きな窓から光が差し込み明るい雰囲気。一方、奥の方はアンティーク調の家具が置かれた落ち着いた雰囲気です。今回はこちらの席にしました。
タイ風カレーのセットをいただきました。辛さ控えめながら色々なスパイスの風味が効いて美味しかったです。
カレーでお腹いっぱい…と思いつつ、豊富なスイーツメニューにも心惹かれ、はちみつレモンのチーズケーキもオーダーしてしまいました。渋み、酸味が穏やかでコクのあるコーヒーによく合う、さっぱりとした味わいのチーズケーキでした。
ところで、上の写真のケーキの左に写っている茶色のリーフレットはCAFE山猫軒の店名の由来について解説されていました。それによると…
「山猫軒」は、日本の詩人・童話作家である「宮沢賢治」の童話『注文の多い料理店』から拝借されたそうです。
「深い山奥に佇む「注文の多い西洋料理店・山猫軒」へやってきた、お腹を空かせた二人の若い紳士が大喜びで扉を開けます。扉には「どうか外套と靴をおとりください。」「金属類、ことに尖ったものは、みんなここに置いてください」などの注意書きを不思議に思いながらも扉の奥へ奥へと歩み進みます。しかし、扉と注意書きの多さに二人が疑い始めた頃、「色々と注文が多くて、うるさかったでせう。お気の毒でした。もうこれだけです。どうかからだ中に、壺の中の塩をたくさんよくもみこんでください」注意書きを見た二人はギョッとしました。ここは「西洋料理を、来た人に食べさせる」のではなく、「来た人を西洋料理にして食べる家」だったのです。
紳士たちはどうなってしまったのか…CAFE山猫軒の本棚には「注文の多い料理店」をはじめ、宮沢賢治の本などが置いてありますので、読んでみられるのも良いですね!
さてお腹もいっぱいになったので、再びきぬかけの道へ出て、東(右手)へ進みます。
きぬかけの道は、金閣寺、龍安寺、仁和寺といった京都市北西部の世界遺産をつなぐ道です。CAFE山猫軒はこのきぬかけの道沿いにあり、龍安寺からもほど近い場所にあります。
きぬかけの道をさらに東へ進みます。右手に見えているのは立命館の建物です。
きぬかけの道を6分ほど歩くと、白い壁に白、黒、黄色のレリーフが浮かび上がる個性的な外観の建物が見えてきました。京都府立堂本印象美術館に到着です。
堂本印象美術館とは
堂本印象美術館は、大正から昭和にかけて京都で活躍した日本画家・堂本印象が、昭和41年(1966)に印象自身によって「堂本美術館」として設立しました。平成3年(1991)に建物と作品が京都府へ寄贈され、翌年京都府立堂本印象美術館として開館し、現在に至ります。同美術館は外観から内装まですべてが印象自らのデザインによります。美術館を建てるにあたり、印象は昭和27年(1952)にヨーロッパで見学した宮殿や邸宅を参考に独自の美の可能性を追求したそうです。
建物から内装まで全てが一つの作品
美術館前のロータリー付近に設けられた装飾です。薄いブルーの枠に金色の幾何学模様が並んだ衝立のようなものが、おしゃれですね。その上ある、二階へ上がる階段から続く青い手すりも、白い壁を引き立てています。
白い壁にモノトーンの石が埋め込められ、抽象画のような模様が楽しいですね。
白い壁に浮かぶ黄色と白のレリーフが面白いです。ちょっとキース・へリングの絵のような感じもしてユーモラスでもあります。
建物に入るまでにいくつも見どころがあって、なかなか中へはいれません(笑)
ようやく美術館の入口です。
扉の取っ手にも印象デザインの抽象画が嵌め込まれています。この抽象画デザインの取っ手は、館内のドアにもついていて、非公開を含め28点もあるそうです。なんて贅沢!
写真:堂本印象美術館公式サイトより
玄関を入って正面にある、館のシンボル的存在のステンドグラスです。教会などにある宗教画とは全然雰囲気が違いますが、色鮮やかな抽象画風のデザインが神々しい美しさです。
写真;堂本印象美術館公式サイトより
展示室の入口にかけられたプレートです。アラジンの魔法のランプみたいで可愛らしいですよね!
写真:堂本印象美術館公式サイトより
扉の装飾も豪華です。
写真:堂本印象美術館公式サイトより
館内にさりげなく置かれている椅子も印象のデザインだそうです。一つ一つ違うデザインで、見逃し厳禁!左下の絵は印象自身による椅子のためのデザイン下絵です。
建物の内装もあちこちに印象のセンスが光る様々な意匠が施されていて、まるで宝探しのような楽しさ!しかし館内は撮影禁止。最近は内装だけでなく、展示された作品なども撮影OKな美術館もある中、これはとても残念でした。印象のすばらしい世界観をSNSなどで紹介したら、もっと美術館の知名度もあがり、人気も出るのではないかと思います。
「旅する印象」展
今回はこの特別展を鑑賞しました。
印象の表現は、日本や東洋の古典芸術をもとに西洋画の手法を取り入れた具象絵画から、戦後には抽象絵画へと幅広い展開を遂げました。こうした様式の変化の裏には、昭和27年(1952)61歳で初めて経験した渡欧が大きな契機であったようです。
本展では、渡欧に関連した作品とともに、大正時代に訪ねた中国に関連する作品も展示されています。熟練した境地の洒脱なヨーロッパ風景と、若手画家時代の大正ロマン漂う中国風景を楽しむことができます。
展覧会全体を見終え、具象から抽象まで、日本画から中国の水墨画風や西洋画など、同じ一人の画家とは思えない表現の幅広さに圧倒されました。特に気に入ったのは、渡欧時に描いたヨーロッパ各地の風景画です。洒脱な筆遣いと淡いさわやかな色彩が、乾いたヨーロッパの空気感と洗練した街並みを存分に伝え、印象がその風景を心ゆくまで楽しみ、思わず筆を取らずにはいられなかった心情が読みとれるようでした。
再び美術館の外に出ると、ユニークなデザインの椅子があちこちに。これら野外の展示は入館料を払わなくても鑑賞可能だそうです。
木華開耶媛(1929年):堂本印象美術館公式サイトより
交響(1961年):堂本印象美術館公式サイトより
初期と晩年で作風が変わる画家は多いですが、印象は作風の変わる前と変わった後、両方の作品がどちらも有名です。京都の寺社の襖絵なども、水墨画、モダンアート風、抽象画と多種多彩で、同じ人が描いたとは思えないほどの振れ幅があります。そのため、どの作品を見たかで、堂本印象のイメージが全く変わってくることでしょう。同美術館では、振れ幅の大きい印象の作品が一堂に会し、違和感なく並んでいて、とても興味深いです。
さらに、日本画の域を超え、彫刻、ガラス、金工、染色なども手掛けた堂本印象の美意識が、この美術館の隅々にまで行き渡り表現されています。まさに、芸術家・堂本印象の集大成として作られたのが、この美術館だったのがよくわかりました。
同美術館は、位置的には少し行きにくい場所にありますが、金閣寺、龍安寺、等持院などからもほど近く、向かいの立命館大学行きのバスは、京都市内の主要な駅からはたくさん出ています。芸術の秋、様々な顔を見せる堂本印象の世界を堪能してみませんか?