京都おすすめ散歩道

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平安神宮 ~紅しだれ桜に彩られた神宿る苑

京都を代表する観光スポットの一つ平安神宮は、朱塗りの大鳥居や大極殿など京都らしい佇まいが一年を通じて人気ですが、その中でも特に有名なのが広大な敷地面積を誇る日本庭園、その名も「神苑」の紅しだれ桜です。谷崎潤一郎の『細雪』や川端康成の『古都』でもその美しさが描かれているように、花びらが幾重にも重なって咲くしだれ桜は、しとやかな美しさにあふれ人々を魅了します。今回はそんな紅しだれ桜が満開の平安神宮を訪ねました。

 

 

平安神宮の場所

goo.gl

 

平安神宮の行き方

JR「京都駅」より 約30分

  市バス5系統、洛バス100号、110系統で「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車

  北へ徒歩5分

阪急「京都河原町駅」より 約20分

  市バス5、46、32系統で「岡崎公園 美術館・平安神宮前」

  「岡崎公園 ロームシアター京都・みやこめっせ前」下車 

  北へ徒歩5分

祇園・清水方面より 清水道より約25分

  市バス201、203、206系統「東山二条・岡崎公園口」下車

   東へ徒歩5分

  洛バス100号系統「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車

   北へ徒歩5分

平安神宮の最寄り駅

  地下鉄東西線東山駅」下車 1番出口より徒歩10分

  京阪鴨東線三条駅」「神宮丸太町駅」下車 徒歩15分

 

平安神宮への詳しい行き方や情報は下記ブログをご参照ください。↓

www.yomurashamrock.me

 

www.yomurashamrock.me

 

今回のスタートは、岡崎公園南側の仁王門通です。地下鉄東西線東山駅から北へ徒歩5分ほどです。

琵琶湖疎水の向こうに朱塗りの大鳥居が見えて来ました。この大鳥居は昭和13年(1928)に、昭和天皇の大礼を記念して建てられました。高さ24m、幅18mにもなり、建設当時としては国内最大級の鳥居だったと言われています。神宮周辺の岡崎地区のランドマークとして、なくてはならない存在です。

 

仁王門通と神宮道の交差点の先の橋から見た琵琶湖疎水です。タイミングが合えば、岡崎十石船が通ります。(2022年は3月19日~4月10日までの運行でした)今回は残念ながら出会えませんでした。

 

神宮道を北へ向かいます。

ロームシアター京都の西に隣接する岡崎公園の紅しだれ桜です。他にも桜の木はたくさんあるのですが、この一本だけ広場の端にポツンと、しかし堂々たる姿で立っていました。

更に北へ向かいます。

平安神宮の応天門(重要文化財)です。

 

平安神宮とは

平安神宮明治28年(1895)、平安遷都1100年を記念して創建されました。第50代天皇桓武天皇を御祭神に迎え、幕末の戦乱で荒廃した京都の再建を願った京都の人々により建てられたのが由来です。京都では数百年の歴史のある神社仏閣が多い中で、平安神宮は比較的新しい神社であることは、京都人でも意外と知らない人が多いです。

794年に平安遷都を行った桓武天皇は、律令を正し、難民の救済や学問の奨励も進めるとともに、広く海外とも交易し大いに我が国の発展に努めました。

昭和15年(1940)には明治維新の基を築いた大121代天皇孝明天皇もご祭神として鎮座しています。

平安神宮の社殿は、桓武天皇が開かれた当時の平安京の正庁、朝堂院が約8分の5の規模で再現されています。大極殿(だいごくでん・外拝殿)・応天門(おうてんもん・神門)・蒼龍楼(そうりゅうろう)・白虎楼(びゃっころう)・歩廊・龍尾壇(りゅうびだん)などは明治28年(西暦1895年)の創建当時に造営されたものです。
 その後昭和15年(西暦1940年)孝明天皇ご鎮座にあたり、本殿・祝詞殿・神楽殿(かぐらでん・儀式殿)などが増改築され、これまでの社殿も大修理が行われました。また、昭和50年からは主要な建物の屋根葺替が行われ、この間51年に社殿の一部が災禍に会いましたが、54年にはその復興もあわせて完成し現在のような壮麗な社頭が整いました。

 

さっそく中へ入って行きましょう。

正面に見えるのが、大極殿重要文化財)です。平安京大内裏の正庁で、即位、朝賀をはじめ国の主要な儀式が行われる中枢です。大極とは、宇宙の本体・万物生成の根源を示す言葉で、天皇の坐す御殿を意味します。

境内の拝観は無料ですが、神苑はこちらで入苑料600円を納めて拝観します。

受付左手の入口から神苑へ入っていきます。

 

神苑

神苑に入ると、まず目に飛び込んでくる満開の紅しだれ桜群に、拝観者はみな「わあ~」と声を上げて写真を撮ったり、じっと見入ったりされていました。

 

こちらの八重紅しだれ桜は、平安神宮が創建された明治28年仙台市長遠藤唐治により寄贈されたものです。そのもとは五摂家筆頭の近衛家に伝来した「糸桜」(先日京都御苑の桜のブログでもご紹介しましたね)を津軽藩主が持ち帰り育て、それが再び京都に帰ったことから「里帰り桜」とも言われています。

平安神宮神苑は明治時代の代表的な日本庭園として広く内外に知られており、社殿を取り囲むように東・中・西・南の四つの庭からなっています。
総面積約33,000㎡(約10,000坪)の広大な池泉回遊式庭園で、明治の有名な造園家7代目小川治兵衛らの手になるものです。平安京千年の造園技法の粋を結集した庭園として、昭和50年12月に国の名勝に指定されています。

 

神苑は明治28年の平安神宮創建以来、しだれ桜の名所として親しまれてきました。

昭和44年の孝明天皇100年祭の時に、平安時代の特色である野筋(道筋)と遣水が設けられました。また、昭和56年には、平安時代の代表的文学書(竹取物語伊勢物語古今和歌集枕草子源氏物語)に登場する草木、約180種類を植栽して、王朝文化をしのばせる庭「平安の苑(その)」としました。

 

春の南神苑の主役は紅しだれ桜。苑内のどちらからでもしだれ桜を楽しむことが出来ます。

苑内の随所に上記のように平安時代の代表的文学書(竹取物語伊勢物語古今和歌集枕草子源氏物語)に登場する草木、約180種類を植栽して、その植物が登場する文学の箇所が添えられています。

 

神苑の奥の方には東屋があり、その後ろには小さな池もあり、水面に映り込んだ桜と木々の緑が鮮やかでした。

 

白い大島桜と紅しだれ桜の競演も見事です。

 

神苑を後にして、西神苑へと向かいます。

 

西神苑

西神苑平安神宮が創建された明治28年に中神苑とともに造られました。

白虎池を中心にした庭は池の西側に出島、北側には神苑唯一の滝があります。

初夏を彩る池畔の花菖蒲は特に有名で約200種類、約2000株植わっているそうです。

6月頃に西神苑などを訪れた時のブログです↓

www.yomurashamrock.me

 

今回は花菖蒲の季節では無かったのですが、こちらでもしだれ桜が随所で楽しめました。

 

西神苑を後にして、中神苑へ向かいます。

 

中・東神苑へ向かう小道は静かな林になっています。

 

神苑

こちらが中神苑です。桜は少なめでした。中神苑は西神苑と同じく、平安神宮創建時に作庭されたもので、庭の中央に蒼龍池があります。

 

神苑と東神苑の間をつなぐ水辺には、川底に玉石が敷き込まれており、せせらぎの音が爽やかです。

神苑

最後の庭園は東神苑です。

こちらは東山を借景とし、明治末期から大正初期にかけて造られました。

京都御所から移築された泰平閣(橋殿;はしどの)、並びに尚美館(貴賓館)があります。

紅しだれ桜の向こう側、左奥に見える屋根つきの橋殿が泰平閣で、右手前に見える建物が尚美館です。

 

栖鳳池には、鶴島、亀島の二島を配し、その周囲には八重紅枝垂れ桜をはじめ、さつき・つばきなど多様な花木が植えられ水面に映る花々は格別の風情を醸しています。

 

尚美館と紅しだれ桜です。

神苑をぐるりと一周しました。

 

桜(はな)みくじ

神苑側の神苑出口から出ると、期間限定の桜記念品売り場があり、その中でもちょっと珍しいのが平安神宮名物「桜(はな)みくじ」です。大吉、吉、中吉…と吉凶を占う通常のおみくじと違い、桜みくじは「つぼみ」「つぼみふくらむ」「咲き初む」「三分咲き」「五分咲き」「八分咲き」「満開」と記されています。吉凶はつぼみが凶に満開が大吉に相当するそうですが、凶と記されているより「つぼみ」の方が、この先まだまだ満開に向けて希望がふくらみ元気が出てきそうですね。

私も運試しに桜みくじを引いてみると…なんと「満開」でした!

「禍(わざわい)転じて福となす」わざわいを わざわいとして甘んじて受けず、これを巧みに利用して、かえって幸福になること。善しも悪しも紙一重。努力すれば叶う

とのことでした。

コロナ禍で友人とのお出かけが減り、運動不足解消とストレス解消にと始めたお散歩。訪れた先々のことを知るうちに、京都のすばらしさをお伝えしようとブログを始めて早や一年が経ち、拙い文章ではありますが、少しづつ読んでくださる方も増えました。今年の春は本当にたくさんの京都の桜をご紹介できたことも、まさに「禍転じて福となす」だったなあ、と感慨深いものがあります。

 

そんな感慨を胸に、さらなる精進を誓い、神楽殿の前の結び木に桜みくじを結びました。

たくさんの方の思いをこめた結び木は、まるで満開の桜のように華やかでした。

 

私が訪れたのは4月初旬でしたので、平安神宮の紅しだれ桜もすでに見ごろを終えていると思います。それでも、平安神宮神苑は四季折々に自然が堪能できる贅沢なスポットですので、機会があれば是非、訪れてみてください。