京都のセントラルパークとも呼ばれる京都御苑は、かつての天皇の居宅のあった京都御所を有する広大な公園です。都会の真ん中にありながら、驚くほど豊かな自然にあふれています。御苑内には桃林や梅林もあり、桜と同時期に桃の花も満開でした。その他にもたくさんの花が見ごろを迎えていましたので、ご紹介します。
京都御苑の場所
京都御苑の行き方
電車で
「丸太町駅」から徒歩3分
「今出川駅」から徒歩3分
「神宮丸太町駅」から徒歩15分
「出町柳駅」から徒歩20分
今回のスタートは地下鉄「今出川駅」です。
南改札から出ます。
改札を出ると売店があるので、売店の左手の3番出口へ向かいます。
大きく「京都御所」と書かれていますね。
ところでブログのタイトルに京都御苑と書きながら、この行先は京都御所とはどういうこと?と疑問に思いますよね(笑)
「京都御所」と「京都御苑」ってどう違うの?と疑問に思い、以前のブログで調べてみましたので、再掲します。
京都御苑と京都御所の違い
京都人は京都御所のことを単に「御所」と呼ぶことが多いです。
「御所」というのは、これから訪ねる広い広い公園の奥の、築地塀内の旧皇居、かつて天皇家が居住した場所です。そしてその外側、つまりそれ以外の公園部分を「御苑」と呼んで区別しているのです。
余談ですが、御所の所轄は宮内庁、御苑の所轄は環境省、京都迎賓館の所轄は内閣府なんだそうです。
さて、地下鉄今出川駅の3番出口を出ると烏丸今出川の交差点に出ます。
写真に見えている信号を南へ渡り、東(左)へ曲がります。
東へ曲がったところです。右手に見えているのが京都御苑の石垣です。
道なりに250mほど東へ進みます。
入ってすぐ右手の小道を入って行きます。
京都御苑は「森の博物館」
道なりに進むと、右手にこんな標識がありました。
京都御苑にはたくさんの植物が生育しており、四季を通じて、花、新緑、紅葉、実などを楽しむことができます。植物相が豊かということは、小動物の住処としても適していると言えます。京都御苑では、これまでに鳥類約100種、チョウ類50種以上、トンボ類20数種、セミ類8種、菌類約400種が確認されているなど、多種多様な生き物が見られ、四季を通じてこれらの動植物に親しみ、学ぶことが出来る場です。
自然の仕組みを知り、自然を大切にする気持ちを育んでいただくため、「森の博物館」として解説標識などが整備されているそうなので、御苑内を散策しながら探してみてください。
更に進むと、また標識が。
京都御苑は、かつての公家町が公園として整備されたもので、その原型は明治10年から16年にかけて行われた「大内保存事業」に遡ります。この時初めて外周に土塁が築かれて、それ以降も積極的に植栽された樹木が現在の樹林を形づくっているそうです。
道が二股に分かれています。左手へ進みます。
近衛邸跡の糸桜(いとざくら)
このあたりは「近衛邸跡」と呼ばれ、五摂家の一つで摂政や関白を多く輩出した近衛家の邸宅跡です。枝垂れ桜の大木が約60本も植わっています。京都御苑内で一番早く咲き始める桜で、「近衛の枝垂れ桜(糸桜)」とも呼ばれます。
かつてはこの庭園の池の西側に大きな屋敷があり、御所炎上の際には仮の皇居にもなったそうです。池のほとりの「枝垂れ桜(糸ざくら)」が昔からの有名で、孝明天皇も次の歌を詠まれています。
「昔より名にはきけども今日みれば むべめかれせぬ糸さくらかな」
近衛邸跡は、2018年の大型台風の後、整備が追いつかず、その後しばらく荒廃していたそうですが、2022年の修復工事で整備され、今はだいぶ綺麗な姿になっています。
池に降り注ぐように咲く枝垂れ桜もまた何とも言えない美しさですね。
近衛邸跡の枝垂れ桜は、京都では「糸桜」と言われます。京都で単に「糸桜」と言えば、近衛邸の枝垂れ桜を指すこともある、一種の固有名詞なのだそうです。(京都人ですが知らなかった…)全国的には、糸桜は枝垂れ桜と同義語として使われる場合もあります。近衛邸跡の枝垂れ桜が特に糸桜と呼ばれるのは、糸を引くように天から降り注ぐ美しい樹形をしているからだそうです。
近衛邸跡の糸桜は、ソメイヨシノに先駆けて3月下旬に開花し、3月末から4月初めに満開となります。糸桜が満開の時期になると、平日でも朝から多くの花見客で賑わいます。実際、私が訪れたのも平日の午前中でしたが、すでにたくさんの方がお花見を楽しんでおられました。
近衛邸跡の糸桜は、京都の桜を紹介するガイドブックなどには載っていないそうです。ある意味では、近衛邸跡の糸桜は京都人にとっての秘密の人気お花見スポットなのかもしれませんね。
さて、糸桜を満喫したので、次の目的地へ移動します。
写真右端に映っているのは京都御所の築地塀です。築地塀沿いに南へ向かいます。
オオシマザクラ
しばらく行くと、右手にオオシマザクラが咲いていました。オオシマザクラの香り高い葉は、桜餅の葉に使用されるそうです。白い桜と若葉の淡い緑が映えて爽やかな美しさですね。
ハクモクレン
背の高いハクモクレンも満開でした。私がこの写真を撮っている時に、近くにおられた方が「コブシが咲いてるなあ」と話していたので、「ハクモクレンとコブシ?どう違うのかな?」と思い調べてみました。コブシの花びらは6枚、ハクモクレンは、萼も花びら並みに大きく目立つため、花びらのように見えるものが全部で9枚だそうです。
とすると、この写真はハクモクレンということになりますね!
中立売休憩所です。2019年にオープンした比較的新しい休憩所で、レストランや土産物店もあります。
中立売休憩所から更に300mほど南へ進むと幕末の「禁門の変」で有名になった「蛤御門」があります。
桃林
蛤御門の南側に広がっているのが桃林です。こちらもちょうど見ごろとなっていました。その数およそ70本におよび、ひとところに多くの桃が楽しめる貴重な場所です。
写真のピンとが甘くてすいません。桃林の木は、まだ低いものが多いので、花もちょうど目の高さほどになります。皆さん思い思いにスマホやカメラを構えて、熱心に写真撮影し、やわらかで独特の雰囲気の桃を愛でておられました。
梅林
桃林の南側には梅林も広がっています。京都御苑内には約180本の梅があり、そのうち130本がこの梅林にあるそうです。
こちらはそろそろ散り始めていましたが、中にはまだ美しく咲いている梅も残っていました。
出水の枝垂れ桜
梅林を過ぎて更に南へ進むと「出水の小川」があります。市民が水とふれあえるように作られた100mほどの小川です。井戸水が小川となって、木々の間をさらさらと流れているさまはとても風流です。夏には水遊びをする子どもたちの人気スポットだそうです。周辺には多くの品種の桜が植えられていますが、この時はまだほとんど咲いていませんでした。ただ、出水の小川の向かい側にある「出水の枝垂れ桜」が満開でした。
大きく枝を広げた「出水の枝垂れ桜」です。
出水の桜を反対側から撮影。こちらから見ると、また違った迫力があります。
ユキヤナギ
ユキヤナギも満開でした。
ユキヤナギの植え込みもこれだけ続くと圧巻です。辺りはユキヤナギの甘く爽やかな香りに包まれていました。
宗像神社の桜
宗像神社の前の桜も満開でした。宗像神社のご祭神は、多紀理比売命(たぎりひめのみこと)、多岐津比売命(たぎつひめのみこと)、市岐嶋比売命(いちきしまひめのみこと)です。3柱合わせて、宗像三女神(むなかたさんにょしん)と総称されています。
海産、生産の他、運送に関係あるご利益を授けてくださるそうです。
この日は3月下旬、京都のソメイヨシノはまだ満開の知らせは少ない時期でしたが、自然の宝庫、京都御苑ではたくさんの春の花の饗宴が楽しめました。
この記事を書いている4月上旬には、先ほどのオオシマザクラも見ごろになったそうです。このように四季折々の自然が楽しめる京都御苑へ、是非足をお運びください。「森の博物館」では、いつ訪れても新しい発見があることでしょう。
京都御苑については以下でもご紹介しています↓
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