師走に入りましたが、京都の紅葉はまだ見ごろが続いている所もあります。この時期、京都の紅葉の名所は観光客であふれますが、京都のど真ん中なのに、意外と人が少なくて紅葉を満喫できるお得なスポットがあります。それが京都御所とその周辺です。京都人は京都御所のことを親しみをこめて単に「ごしょ」と呼びます。都会の中の一大紅葉穴場スポットをご紹介します。
今回は、京都御所の東にある小さな神社と寺院 梨木神社と蘆山寺をご紹介します。
梨木神社の場所
梨木神社の行き方
●バスで
JR京都駅前(烏丸口)
市バス乗り場A2乗り場から
4系統・17系統・205系統で約20分
「府立医大病院前」下車 徒歩3分
●電車で
「丸太町駅」1番出口から徒歩約20分
「今出川駅」3番出口から徒歩約20分
「神宮丸太町駅」1番出口から徒歩約15分
「出町柳駅」 2番出口から徒歩約15分
梨木神社はどの駅からでもかなり歩きます。私は地下鉄丸太町駅から京都御所を抜けて
梨木神社へ行くお散歩コースをお勧めしています。
行き方は以下のブログをご参照ください↓
今回のスタートは京都御苑の清和院門です。秋の京都御苑の紅葉は以下のブログでご紹介しています↓
清和門院は京都御苑の東にあります。
この門を出て、すぐ前の道を100mほど北へ向かいます。
梨木神社の名物(?)萩の葉が、黄色く色づいています。この細い小道を東へ進みます。
道が狭くて、うまく鳥居が収まっていませんが、梨木神社の鳥居です。
参道の草木も赤や黄色に紅葉しています。
梨木神社とは
梨木神社は、明治18年10月に明治維新の功労者、三條實萬(さんじょうさねつむ)を御祭神として創建された、京都では比較的新しい神社です。大正4年の大正天皇即位式に實萬の子で元内大臣で一時は内閣総理大臣も兼任した三條實美(さねとみ)が第二御祭神として合祀されました。
梨木神社という社名はこのあたりの旧地名の梨木町に由来します。
三條家は五摂家に次ぐ公卿最高の名家で、代々すぐれた歌人、学者など賢才偉人を輩出した家です。御祭神の三條實萬、實美父子は、学問・文芸の神様として崇敬を集め、境内には江戸時代の国学者で『雨月物語』の著者上田秋成や、日本最初のノーベル賞受賞者の湯川秀樹博士の歌碑があります。
また、拝殿の傍らにある石碑は、三條實萬が天壌無窮の神勅を軸に書き、日夜皇室の発展を願って祈念していた文字を石碑に刻んだものと伝えられています。
梨木神社は別名「萩の宮」とも称され、境内には500株以上の萩が植えられ、毎年9月には「萩まつり」として舞踊、邦楽、弓、居合などやお茶会が催され、多くの参拝者で賑わいます。
鳥居をくぐって60mほど進むと染井の井戸があります。京都三名水「染井(そめい)・佐女牛井(さめがい)・縣井(あがたい)」のひとつである染井の井戸は、境内の手水舎にあり、今も近隣の人や観光客が名水を拝受することができます。一回5リットルまで100円です。私も前回訪れた時にペットボトルを持参し一本分いただきましたが、飲んでみると口当たりの柔らかい飲みやすいお水でした。
梨木神社の境内は、藤原義房の娘明子(あきらこ・清和天皇の御母染殿皇后)の御所の跡地で、宮中御用の染所の水として染井の水が用いられたと言われています。
奥へ進み、中門(写真を撮りませんでした)をくぐると拝殿です。
こちらはカエデの紅葉が見ごろです。
アングルを変えて、拝殿の東側からカエデを撮ってみました。日の光が紅葉に透けて、正面からの写真とはまた違った美しさがありますね。
拝殿の奥へ進むと本殿です。こちらも黄色く色づいた萩とカエデの赤、そして常緑樹とが鮮やかに調和しています。
私が訪れたのは11月下旬、紅葉シーズン真っ盛りでしたが、すれ違う人はかなり少なかったです。
さて、梨木神社を後にして蘆山寺へ向かいます。
蘆山寺の場所
蘆山寺の行き方
「神宮丸太町」駅より徒歩約15分
京都市営バス「京都駅」から4・17・205系統
「四条河原町」から3・4・17・205系統
「府立医大病院前」下車 徒歩約5分
注意)「府立医大病院前」のバス停は河原町通にありますが、蘆山寺には河原町通側からは入山できません。寺町通よりお越しください。
蘆山寺については以下のブログで詳しくご紹介しています。↓
今回のお散歩では、梨木神社の東向かいにある蘆山寺へ向かいます。寺町通りを渡ると、もうすぐそこが蘆山寺の山門です。
蘆山寺とは
蘆山寺は天台圓浄宗の大本山で、平安中期に元三大師(がんざんだいし)によって船岡山に創建され、元亀2年(1571)、現在地に移されました。
紫式部の邸宅跡で、源氏物語執筆の地とされています。物語にちなんだ桔梗のお寺としても有名で、6月から9月初旬には本堂の「源氏の庭」に紫色の可憐な花が咲き誇ります。
山門を入るとすぐ正面にあるのが元三大師堂です。こちらには、ご本尊の元三大師像が祀られています。開祖の元三大師良源は比叡山の中興の祖として崇められており、人並み外れた霊力と様々な姿に身を変えて人々を救ったという伝説があり、平安後期から鎌倉期にかけて説話集が作られました。元三大師堂では、毎月三日に護摩を行っており、自由に参加できるそうです。
元三大師は実在の人物ですが、中世以来、独特の信仰を集め、現在でも「厄除け大師」などとして民間の信仰を集めています。また、現在の寺社・仏閣で行われているおみくじは元三大師が始めたと言われています。
元三大師堂の南に駐車場があり、その脇のモミジが見ごろを迎えていました。
駐車場から東の奥へ入ると(上記写真の左手)本堂ですがその手前に鐘楼があります。
鐘楼の周辺のカエデも見事に色づいていました。
アングルを変えて、鐘楼の東側から写真を撮ると、奥のイチョウも黄金色に色づいてカエデと競い合っているかのようでした。
今回は時間の関係で本堂(拝観有料)には入りませんでしたが、無料の境内だけでも十分紅葉が楽しめました。
蘆山寺も京都御所から数分という観光名所からすぐの好立地ながら、観光客はかなり少なめでした。
11月下旬から12月上旬の京都は、テレビの中継などでもたびたび取り上げられ、コロナ禍にあっても、紅葉スポットだけでなく電車やバスも大変混雑します。
今回ご紹介した二つの寺社は、人込みが苦手な方も静かに紅葉を楽しめる絶好の穴場スポットです。是非京都御苑と合わせて足を運んでみてください。
京都御所の周辺にはまだまだ見どころのスポットがあり、下記でご紹介しています。
相国寺内にある承天閣美術館は伊藤若冲をはじめ、相国寺や塔頭寺院が所蔵する数々の美術品や文化財が多数展示されています。↓