京都おすすめ散歩道

定番から穴場まで京都のお散歩コースを地元民の視点からご紹介

六角堂~生け花発祥の地である都会のオアシス~

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京都の通り名の唄「まるたけえびすにおしおいけ あねさんろっかくたこにしき~」にも登場する六角通に面して六角堂はあります。京都の人にはおなじみの唄ですが、名探偵コナンの映画『迷宮への十字路』でもこの唄が鍵となっていたので、他の地方の方でも聞いたことがあるかもしれませんね。

六角堂の正式名称は紫雲山頂法寺で、天台系の単立寺院です。

本堂の形が六角形であることから、古くより「六角堂」の通称で親しまれています。

聖徳太子が創建したと伝えられ、本尊如意輪観音像が人々の信仰を集めてきました。

華道家池坊が住職を務め、いけばな発祥の地としても知られています。

京都のほぼど真ん中、オフィスビルの立ち並ぶ一角に佇む都会のオアシスのような寺院です。観光はもちろん、オフィスビルに勤めるサラリーマンのランチ後の散策に、地元の方の犬の散歩に、近隣の予備校生のお参りに、とそれぞれにこの寺院での時間を楽しんでおられます。

今回は、古くて新しい、いつの世も人々に親しまれている六角堂をご紹介します。

 

 

六角堂の場所

goo.gl

 

六角堂への行き方

電車で   ・京都市営地下鉄烏丸御池」駅出口から徒歩3分

      ・阪急京都線「烏丸」駅21番出口から徒歩5分

      ・阪急河原町駅から約5分

 

徒歩で   ・京都文化博物館から4分

      ・錦市場高倉通側)から6分

      ・四条河原町から15分

 

タクシーで ・京都駅から約10分

      ・京阪三条駅から約10分

 

 

阪急「烏丸駅」から六角堂へ

今回は阪急京都線「烏丸」駅からスタートします。

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西改札口から出ます。ちょうど四条烏丸の交差点の真下辺りです。

改札を出て右手に以下のような案内板があります。

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案内板に従って21番出口へ向かいます。

 

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案内表示の通り、地下道を進みます。

 

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京都三井ビルディングに出ます。天井の案内表示に従って、烏丸通り出口(左側)の階段を上がります。

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烏丸通に出ました。この通り沿いを北(右)へ進みます。

「(あねさん)ろっかく たこ にしき 」と歌いながら、その歌の反対の順に「錦小路通り、蛸薬師通り、六角通り」と確認しながら300mほど進みましょう。

 

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右手に花屋さんが出てきたら、その先が六角通です。この交差点を右へ曲がります。

 

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六角通の北側(進行方向左側)に六角堂があります。ビルの谷間に木々の緑が爽やかな風を運んでくれる、不思議な空間です。

 

六角堂とは

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六角堂は起源が定かではありません。寺伝によると、587年(用明天皇2年)に聖徳太子厩戸皇子)が創建したとも言われていますが、発掘調査によると飛鳥時代の遺構は見つからず、10世紀後半頃に創建したと推定されるそうです。としても平安時代ということになりますから、京都でも屈指の古い寺院ということになります。

ちなみに、六角堂の名称は本堂の形が六角形であることに由来しています。

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写真ではちょっとわかりづらいですが、隣接するビルのエレベーターに昇り、上から見ると、確かに六角形をしていることが確認できます。

六角堂の本堂は明治10年(1877)の再建されました。
六角堂の御詠歌は「わが思う心のうちは六(むつ)の角ただ円(まろ)かれと祈るなりけり」です。「六の角」とは、六根(眼・耳・鼻・舌・身・意)によって生ずる六欲のことで、これらを捨て去って角を無くし、円満になること、すなわち「六根清浄を願う」という祈りを込めた形と伝えられています。
本尊は聖徳太子の念持仏と伝える如意輪観音坐像で、秘仏とされ安置されています。特に寿命を延ばす、病気を治すなどの健康面でのご利益があるとされ、子宝に恵まれたり、難産を緩和させるといったご利益もあるそうです。

 

太子堂(開山堂)

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境内北東の池の隅に浮かんでいる建物は太子堂と呼ばれ、六角堂を創建した聖徳太子を祀っています。内部には、太子が合掌して「南無仏」と唱える二歳像、父である用明天皇の病気平癒を祈る十六歳像、仏教の受容をめぐって物部守屋と戦った姿を表す騎馬像を安置しています。

淡路島に漂着した如意輪観音像を念持仏としていた聖徳太子は、四天王寺建立の材木を求め、京都盆地を訪れました。太子が池で身を清めるにあたり、念持仏を木に掛けたところ動かなくなり、この地にとどまって人々を救いたいと太子に告げたため、六角形の御堂を建てて安置したといわれます。

 

聖徳太子沐浴の古跡~いけばな発祥の地

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太子堂の脇の池の中にある、石でできた井筒は、聖徳太子沐浴の古跡と伝えられる場所です。この池のほとりに、小野妹子を始祖とする僧侶の住坊があり、「池坊」と呼ばれるようになりました。代々六角堂の住職を務める池坊は、仏前に花を供える中でさまざまな工夫を加え、室町時代の「いけばな」成立に至ります。東福寺の禅僧の日記『碧山日録』には、寛正3年(1462)に池坊専慶が花を挿し、京都の人々の間で評判になったことが記されています。

六角堂の隣には華道・池坊流の本部である池坊会館があり、華道展や花供養など華道関係のイベントが年中行われていますし、春のいけばな展に合わせて六角堂の境内でも夜の特別拝観が行われ、花いっぱいの幻想的な空間が広がります。

 

親鸞

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本堂の東に位置するお堂で、浄土真宗の開祖・親鸞聖人が籠ったと言われている建物です。鎌倉時代の初め、比叡山で修行をしていた親鸞は、建仁元年(1201)29歳の時、六角堂に100日参籠するという誓いを立てました。聖徳太子を深く尊敬していた親鸞は、京都における太子ゆかりの寺院として、六角堂に思いを寄せたのです。
参籠は、夜になると比叡山を下りて六角堂に籠もり、朝には山に戻る繰り返しだったといいます。そして九十五日目の暁に如意輪観音からお告げを受け、浄土宗を広めていた法然上人へ弟子入りをし、浄土真宗を開くきっかけとなりました。浄土真宗は現在でも日本で最大の仏教宗派であるため、仏教の歴史が大きく変わった場所といえるでしょう。

 

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親鸞堂の横には親鸞銅像があります。

 

石不動

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不動明王は、大日如来が一切の悪魔を降伏させるために身を変じた存在で、怒りの形相をとり、強い法力を持っています。六角堂の境内には、不動明王の石像と木像をそれぞれ安置する堂が隣接して建っています。石不動は安永9年(1780)刊行の『都名所図会』に描かれているそうです。

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唐崎社

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境内の南東隅にある唐崎社は、六角堂の鎮守です。御祭神の唐崎明神は、「唐崎の松」で有名な琵琶湖畔の唐崎神社(滋賀県大津市)の神様で、比叡山延暦寺とも深い関係があります。かつては明星天子菩薩とも称していました。社殿には、祇園社(八坂神社)と天満宮北野天満宮)の神様が合祀されています。

 

十六羅漢

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羅漢とは、仏の教えを護り伝えることのできる優れた僧侶に与えられた名前です。十六というのは、方位の四方八方を倍にした数で、あらゆる場所に羅漢がいることを意味しています。
六角堂の十六羅漢は、2007年~2008年に池坊専永住職によって安置されたもので、「和顔(わげん)愛語(あいご)」を実践し、いつもにこにこしています。いつも優しい顔つきで、穏やかに話をするように心がけてさえいれば、必ず良い報いがあるという教えだそうです。見ているとこちらも自然と笑顔になれます。

また、羅漢の周りにはひねくれて仏教を理解しない邪鬼がいるとされていますが、六角堂の邪鬼は改心し羅漢を守りながら修行に励んでいると言われています。

 

お地蔵さん

境内には多くのお地蔵さんが安置されています。手作りのよだれかけやアクリル製の帽子などを身につけているものも多く、その優しく愛らしい姿は、見ているだけでも心が癒されますね。

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池坊会館入口付近にあるのは、京都御所を守るために北を向いている「北向地蔵」

 

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小さな子供を守ってくれる「わらべ地蔵」

 

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「地蔵山」と呼ばれるお地蔵さんの群像

 

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十六羅漢の横には願いを手のひらにやさしく包み込んで祈る「合掌地蔵」があります。

 

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少し首を傾けられた姿をされた「一言願い地蔵」お参りに来られた人の願いを叶えてあげようかどうしようか考えておられるそうです。

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願いを聞き届けていただけるかは信心次第なので、欲張らず一つだけ願い事をするように、と書かれています。

 

へそ石

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山門をくぐると、右前方の敷石の中央に、中央にまるい穴があいた六角形の石があります。門前の六角通りにあったものを、明治時代初期に門内へ移したもので、六角堂が京都の中心とされたことから、体の中心であるへそになぞらえて「へそ石」と呼ばれています。桓武天皇が都を平安京へ遷す際、六角堂の本堂が通りにかかっていて、都の造営が出来ず困っていました。そこで桓武天皇が本尊の観音様に祈ったところ、六角堂が一夜のうちに自ら約15メートルほど北の現在地へ移動したそうです。もとの位置には六角堂の礎石だけが一つ残ったという伝説から、「本堂古跡の石」ともいいます。

かなりわかりにくいので、見逃し注意です!

 

 

縁結びの六角柳

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平安時代初期、妃になる女性を探していた嵯峨天皇の夢枕に六角堂の如意輪観音が現れ、「六角堂の柳の下を見てみなさい」とのお告げを受けたため、人を遣わしてみると、柳の下には一人の美しい女性が立っており、天皇はただちに妃として迎えました。この話から「六角堂の柳に願をかけると良縁に恵まれる」という噂が広がり、「縁結びの柳」と呼ばれるようになりました。本堂前の柳二本を一緒に、おみくじで結んでおくと縁結びのご利益があると言われています。

青々と茂った枝が地面すれすれまで伸びる姿から「地ずり柳」とも呼ばれます。

 

鐘楼

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山門の外側、六角通りを隔てた飛地境内に鐘楼が建っています。この鐘は、時計の無かった時代、人々に時刻を告げるため、決まった時刻に撞かれていましたが、戦国時代、京都に戦乱の危機が迫った時にも、この鐘が撞かれたという記録もあります。

ちなみに現在は除夜の鐘以外は全自動で撞かれるそうです。時代の変遷を感じさせますね。

現在の位置は江戸時代初期までさかのぼることができ、周辺の町の人々の信仰を集めた六角堂の特徴をよく表しています。
鐘は第二次世界大戦時の金属供出で失われましたが、昭和29年(1954)に再鋳されました。
平成31年(2019年3月)、本堂及び拝堂とともに京都市指定有形文化財に指定されました。

 

京都の中心 六角堂

室町時代、寛正2年(1461)の飢饉にあたり、人々が集まってくる六角堂の門前で炊き出しがおこなわれました。応仁の乱後、京都は上京と下京に分かれましたが、六角堂は下京の町堂として町衆の信仰を集め、集会所や公民館のような機能も果たすようになります。
また、日本を代表する祭礼の一つ、祇園祭山鉾巡行の順番を決めるくじ取り式は、江戸時代末まで六角堂でおこなわれていました。これらのことから、六角堂は京都の中心と認識されるようになりました。

 

 

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神社仏閣の多い京都の中で、神社は拝観無料の所がほとんどですが、寺院は拝観料が必要な所が多いですよね。しかしこの六角堂は、これだけ見どころ満載なのに、なんと拝観無料なんです!いけばなの聖地、また西国三十三か所の第18番霊場にも名を連ねていることからも、京都の中心として、古くから多くの人々の信仰を集めてきた六角堂。

これからも都会のオアシスとして、疲れた現代人の心を癒し、愛され続けることでしょう。

京都一の繁華街の中にあり、近くには京の台所「錦市場」や、祇園祭の行われる八坂神社、建仁寺なども徒歩圏内なので、一帯の観光コースの一つとしてもおすすめです。

 

近くにある錦天満宮もおすすめです。以下の記事をご覧ください。↓

 

yomurashamroch.hatenablog.com