京都おすすめ散歩道

定番から穴場まで京都のお散歩コースを地元民の視点からご紹介

夏越の祓・車折神社の茅の輪くぐり

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●夏越の祓と車折神社

嵐山にほど近い車折神社では、6月になると、茅の輪が本殿入口の鳥居に飾られます。毎年6月の終わりに神社で執り行われる「夏越の祓(なごしのはらえ)」は、一年の前半の半年間の罪や穢れを祓い、残りの半年間の無病息災を祈る神事です。なお、7月から12月の穢れを払うのは大晦日の年越しの祓です。

神社の境内や鳥居の下などに茅(ちがや)の大きな輪が設けられ、八の字を描くように“茅の輪(ちのわ)”をくぐることで厄が落ち、身が清められるそうです。

これは、旅の途中に宿を求めた素戔嗚尊(すさのおのみこと)を、貧しいながらも厚くもてなした蘇民将来(そみんしょうらい)が、その後素戔嗚尊の言った通り、茅の輪を腰につけて疫病を免れたという故事に由来しているそうです。

京都でも主な神社でこの夏越の祓が行われますが、ほとんどが6月30日かその数日前から茅の輪を設置する所が多いのですが、ここ車折神社では6月1日から一か月間茅の輪が設置されています。ピンポイントで6月30日に茅の輪くぐりに訪れるのはスケジュール的に難しい方も、車折神社ならご都合のつく日に茅の輪くぐりが出来ますので、是非訪れてみてはいかがでしょうか・

車折神社は、境内に芸能の神様を祀る「芸能神社」があることで有名ですが、そのほかにもさまざまなご利益のある興味深い神社です。車折神社については以下のブログで詳しくご紹介しています。↓

yomurashamroch.hatenablog.com

 

さて、では早速車折神社の茅の輪くぐりに行きましょう。

今回のスタートは、最寄りの京福嵐山鉄道(嵐電車折駅からです。

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駅を降りると、目の前が車折神社です。

f:id:yomurashamroch:20210620131045j:plainこの日は植木屋さんが境内の木の剪定をされていました。春から初夏にかけて茂った木々が、すっきりと刈り揃えられて夏支度。境内は一段と明るく感じました。

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 車折神社駅から近い方の門からは裏参道になりますが、こちらから入って行きます。

f:id:yomurashamroch:20210620131151j:plain清めの社です。裏参道より本殿入口付近に出る石鳥居の脇にあります。清めの社のご神力(パワー)により、車折神社の境内全体(敷地)は「悪運・悪因縁の浄化」「災厄消除」のご神力が充満しており、全国各地より大勢の方が、厄除け・八方除けのご祈祷を受けに来られるそうです。この日も数人の方がこの清めの社で熱心に拝んだり写真を撮られたりされていました。 

 

車折神社の茅の輪くぐり

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こちらが茅の輪になります。茅の輪くぐりの作法は、神社により違うようです。一般的には、神歌を唱えながら、まず茅の輪を左足からまたぎ、左側からまわって正面へ戻ります。続いて左足から右側へまわり正面へ、さらに左足から左周りで正面へ戻ります。8の字を描くように左・右・左と回ります。最後に左足からまたいで、本殿へ向かいます。

f:id:yomurashamroch:20210620131249j:plain茅の輪の横の建物の壁に貼られていた説明書きです。茅の輪をくぐって心身を清めた後、「人形(ひとがた)」を書くと、気づかぬうちに身についてしまった罪・けがれがことごとく祓われ、運気が大いに上昇するそうです。

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 茅の輪をくぐると、人形(ひとがた)を書く場所が設置されています。

f:id:yomurashamroch:20210620131341j:plain人形は、人の形を模した紙の形代です。夏越の祓では、この人形に自分の名前や年齢を書き、体をなでたり、息を吹きかけたりして罪や穢れを託します。体の悪い部分をこすることで人形に厄を移すといった風習もあるそうです。茅の輪をくぐった後で、人形は身代わりとして神社におさめたり、川に流したり、火で焚き上げたり、神社によって異なるようですが、そのようにして厄を祓い、残り半年の息災を祈願します。

 

車折神社でも、上の写真のように、人形に名前と年齢と性別を書いた後、息を3回吹きかけます。これにより、人形にその人の分魂が宿り、神事の当日、神主がお焚き上げをすることにより「罪・穢れ」が祓い清められ、運気が大いに上昇するそうです。

f:id:yomurashamroch:20210620131407j:plain記入済みの人形は、隣の箱へ入れます。

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人形のお焚き上げ料100円(以上)は、この箱に入れます。

f:id:yomurashamroch:20210620131503j:plain境内では、梅雨時の湿った空気にくちなしの花の甘い香りがより濃密に香っていました。

 

この後、ご本殿にも参拝しました。これで今年半年の穢れをすっかり祓っていただき

残りの半年間を無事に過ごしたいものです。

 

●夏越の祓と水無月

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京都では、6月になると和菓子屋さんをはじめ、スーパーなどでも「水無月」という、白いういろう生地に小豆を乗せた三角形の和菓子が売られ、夏越の祓の行事食として親しまれています。

京都で水無月が食されるようになった由来は、宮中で行われていた「氷の節句」だと言われています。6月1日に行われていた氷の節句では、取り寄せた氷を口に含み、暑気を払って夏を無事に乗り切れるよう祈願されました。しかし庶民にとって氷は高級品で手の届かない物だったため、氷をイメージした三角のういろうに、邪気を払う小豆を乗せた水無月が作られたと言われています。

私も6月に一度は水無月を食べないと、何となく物足りないような気分になります。今年も水無月を食べて、暑気祓いをしたいと思います。

今回のお散歩は車折神社駅からすぐでしたので、15分ほどでした。車折神社からは京福電気鉄道嵐電)で3駅で嵐山駅に着きますし、徒歩でも15分ほどですので、嵐山観光のついでに立ち寄ってみられてはいかがでしょうか。

 

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旧暦宮中では、冬から氷室で保管していた氷で暑気払いをしていました。しかし、氷は庶民には大変貴重なもの。そこで形を似せた甘いお菓子で、息災を