嵐山にある天龍寺は、京都の禅寺を代表する格式高い寺院「京都五山」のひとつで、その中でも第一位に数えられたことのあるお寺です。
法堂(はっとう)の天井に大きな龍が描かれた雲龍j図をはじめ、参拝客を出迎えるだるま図、亀山と嵐山を借景にした広大な庭園など、境内には見どころが満載。
四季を通じて、どこを切り取っても絵になる美しい寺院「天龍寺」ですが、今回は梅雨の晴れ間に訪れた百花苑と曹源池庭園をご紹介します。
天龍寺の場所
天龍寺の行き方
電車で
・阪急電車 「嵐山」駅下車徒歩15分
バスで
・市バス 11.28,93番で「嵐山天龍寺前」下車前
・京都バス 61,72,83番で「京福嵐山駅前」下車前
嵐山や渡月橋、天龍寺の西側に広がる亀山公園などもかつては天龍寺の境内地でした。
もともと後嵯峨天皇の亀山離宮があった所に、暦応2(1339)年、足利尊氏が後醍醐天皇の菩提を弔うため、夢想国師を開山として創建した禅寺です。
室町時代には京都五山の第一位を占めたこともありました。創建以来八度にわたる大火で創建当時の壮大な面影はとどめていないそうです。現在の諸堂は明治になって再建されました。当時の原型を残す曹源池庭園は亀山や嵐山を借景にした池泉廻遊式で、夢想国師の作庭と言われています。
日本で最初に史跡・特別名勝に指定され1994年12月には「古都京都の文化財」として、世界文化遺産に登録されました。
本日のスタートはJR嵯峨嵐山駅です。
南側の出口から出て、南へ向かいます。
駅前の道を南へ向かい、京都銀行の角を西へ曲がると、上記の道へ出ます。
コロナ禍以前は、平日でも観光客でごった返していましたが、今は平日とは言え、ほとんど歩いている人がいません。
この道を西へ向かい、突き当りが嵐山のメインストリート長辻通りです。
長辻通りで南へ曲がると、天龍寺は京福電気鉄道(嵐電)嵐山駅の向かい側です。
こちらの入口から天龍寺に入って行きます。
庭園では菖蒲や下野、山紫陽花などが開花中とのこと。下野ってどんな花でしょうか?
気になりますね…
庫裏です。明治32年(1899)の建立です。庫裏は台所兼寺務所の機能を持ちます。方丈や客殿と棟続きで、切妻造の屋根の下の大きな三角形の壁が印象的です。白壁を縦横に区切ったり、曲線の梁を用いたりして装飾性を出した建物で、天龍寺景観の象徴ともなっています。
また、玄関に入った正面に置かれる大衝立の達磨図は前管長である平田精耕老師の筆によるもので、方丈の床の間などに同じ達磨図が見られ、達磨宗である禅を象徴し、天龍寺の顔ともいえます。
庫裏の前を左に曲がると庭園受付があります。庭園(曹源池・百花苑)のみの参拝料は高校生以上500円です。諸堂(大方丈・書院・多宝殿)も参拝する場合は、庭園参拝料に300円追加になります。
今回は庭園のみの参拝としました。
庭園受付から入るとすぐに方丈に出ます。
方丈とは禅宗様式柄の一つで、住職の居室です。方丈のご本尊は釈迦如来坐像I(重要文化財)です。平安時代後期の作とされ、天龍寺が受けた八度の火災のいずれにも罹災せず助けられた仏像で、天龍寺に祀られる仏像の中で最も古いものとなります。
方丈の東は中門に対し、西は曹源池に面しています。東側が正面で曹源池側が裏となります。
方丈の角を曲がると、曹源池です。じっくり見るのは後のお楽しみにして、まずは曹源池の裏側の庭園内を散策します。
青紅葉が目に鮮やかです。起伏に富んだ遊歩道が曹源池の背面に張り巡らされていて、ちょっと迷路のようです。
この辺りが庭園の一番高い場所でしょうか。曹源池を見下ろすも、大きく育った木々で池の全容を見ることが出来ませんでした。
何せ八度も大火に遭った天龍寺なので、庭園も現在の姿になったのがいつ頃からなのかは定かではありませんが、天龍寺の公式サイトによると、「庭園全体像は寛政11年(1799)に刊行された秋里離島による「都林泉名勝図会」に描かれた姿をよく残している。」とありますので、少なくとも200年余り前には現在に近い庭園だったとすると、木々が大きいのも頷けます。
曹源池を見下ろすしだれ桜の木です。写真では伝わらないかもしれませんが、未だかつて、しだれ桜でこんな巨木にお目にかかったことはありません。樹齢は一体何百年なんでしょうか?
天龍寺裏手には大河内山荘などに通じる竹林があります。写真の竹林はまだ天龍寺の境内ですが、昔はこの辺り一帯が天龍寺境内地だったことが伺える風景です。
先ほどのしだれ桜より下の方、方丈の近くに植わっているしだれ桜の木です。
本当におおきくて立派な木です。これが満開になったらどんなに美しいのかと思いますが、私はまだそのタイミングで訪れたことがありません。来年は是非この目で見たいものです。
曹源池を見下ろす遊歩道から下におりて来て、お目当てのあじさいが見えて来ました。
それぞれの花に日本語、英語、中国語、韓国語での名称が書かれた立て札が設置されています。
こちらは普通の紫陽花です。
この東屋の奥に見えるのが北門です。北門から出ると、有名な嵯峨野の竹林から大河内山荘や亀山公園へと続く道へ出ます。
→亀山公園をご紹介したブログは↓
紫陽花にもいろいろな色があり、まさに百花繚乱です。
下野の花です。庭園に入る前に見かけた看板にも開花中と書いてありましたね。バラ科で下野国(栃木県)で最初に発見されたことから、この名がつけられたそうです。
ピンク色のかわいい花が密生していますね。
紫陽花にも本当に色々な種類があるんですね。
百花苑の立て看板が。どうも順路を逆に辿って来たようです。
今回は紫陽花以外はつつじぐらいしか見られませんでしたが、四季折々の花が植えられていて、それぞれに花の名前の立て札が添えられていました。
再び、方丈の横に戻って来ました。花菖蒲やさつきが咲き乱れて得も言われぬ美しさでした。
最初とは反対の方向から曹源池を眺めてみます。方丈と庭園の組み合わせもまた美しいものです。方丈のお堂の軒下部分にも歩道が設けられ、また方丈の縁側に座ってもゆっくり眺めることが出来ます。
曹現池庭園は、約700年前の夢窓国師作庭当時の面影をとどめており、わが国最初の史跡・特別名勝指定だそうです。中央の曹源池を巡る池泉回遊式庭園で、大堰川を隔てた嵐山や庭園西に位置する亀山を取り込んだ借景式庭園でもあります。
方丈からみた曹源池中央正面には2枚の巨岩を立て龍門の滝とします。龍門の滝とは中国の登龍門の故事になぞらえたもので、鯉魚石を配するが、通常の鯉魚石が滝の下に置かれているのに対し、この石は滝の流れの横に置かれており、龍と化す途中の姿を現す珍しい姿をしていると言われています。
曹源池の名称は国師が池の泥をあげたとき池中から「曹源一滴」と記した石碑が現れたところから名付けられたそうです。
今回は天龍寺のあじさいなどが咲き乱れる百花苑と新緑がさわやかな曹源池庭園をご紹介しました。諸堂は見学していませんが、まだまだ見どころが満載です。
天龍寺の公式サイトに、「天龍寺の四季」と題し、四季折々の美しい境内の風景が掲載されていますので、是非ご覧ください。私もそれぞれの季節にまたゆっくりと訪れて、天龍寺の美を堪能したいと思います。
嵯峨嵐山駅からの往復で一時間半ほどの散歩でした。