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「春の義理」を果たしに ~御室桜を愛でる~


観測史上最も早い開花と満開を記録した今年の桜。遅咲きで有名な御室 仁和寺の桜も満開との情報を得て、例年より一週間ほど早い御室桜を見に出掛けました。

仁和寺の場所

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仁和寺の行き方

京福京福電気鉄道 御室仁和寺駅から
徒歩約3分

JR嵯峨野線 花園駅から
徒歩15分


御室仁和寺駅の御室桜


今日のスタートは京福電気鉄道 御室仁和寺駅から。
レトロで小さな趣のある駅構内に、背の低い御室桜が彩りを添えています。
同駅構内にはシダレザクラがありましたが、数年前からの病害のため再生は難しいと判断され、2020年2月に仁和寺が「御室桜」を寄贈し新たに植樹、約1年後の3月31日に初めて開花したそうです。

もともと背の低い御室桜ですが、こちらはまだ子どものように可愛らしい姿。これから仁和寺内の桜のように成長し、更に艶やかに駅舎を彩る日が楽しみですね。

駅標もレトロ、「驛室御」と右書きです。


駅を降りて北方向に大きな二王門が見えます。



御室仁和寺と御室桜

仁和寺は仁和4年(888)に創建され、現在は真言宗御室派の総本山です。 平成6年には世界遺産に登録されました。
境内には江戸時代に建立された五重塔や二王門などが建ち並び、御室桜も同じ時期に植えられ、 当時と同じ姿を現在に伝えています。


現在仁和寺では御室花祭りを開催中(5月9日まで)
普段境内は拝観無料ですが、この期間は有料( 特別入山料:大人500円(御殿との共通券800円) 次世代への文化支援として高校生以下は無料)
御室桜は昨日まで満開のはずでしたが、今日行ってみると…

散り初め😢
桜は咲き出すと早いですよね…

御室桜は、仁和寺の中門内の西側に植えられています。江戸時代の頃から庶民の桜として親しまれ、数多くの和歌に詠われています。
また、江戸時代の儒学者貝原益軒が書いた『京城勝覧』(けいじょうしょうらん)という、いわゆる京都のガイドブックにも 「春はこの境内の奥に八重桜多し、洛中洛外にて第一とす、吉野の山桜に対すべし、…花見る人多くして日々群衆せり…」と記され、吉野の桜に比べて優るとも劣らないと絶賛されています。 そして大正13年に国の名勝に指定されました。

御室桜と言えば五重の塔をバックに見上げたアングルが有名ですね。
林の南西の突き当たりには、写真を撮る人がたくさん…
私も撮ってみました😁


白い雲海に五重塔が浮かんでいるようで壮観です。

御室桜の特徴

御室桜は背丈が低く2メートルほどです。
一説には粘土質の土壌のため、土中に酸素や栄養分が少なく、桜が根をのばせないためではないかと言われています。

人の目の高さほどなので、ソメイヨシノのように見上げるのではなく、1つ1つの花を間近に見ることが出来る珍しい桜です。


こんなにアップで撮るのも楽々

昔から、「わたしゃ おたふく 御室の桜 はなが ひくても 人が好く」と歌われてきました。
花(鼻)が低い=お多福 ということで、花と鼻が掛詞になっているのですね。
丈が低いため、眼前で花を楽しめるのも人々に愛されてきた理由のひとつです。

川端康成は、小説「古都」の中で『御室の桜も、一目見たら、春の義理がすんだようなもんや。』と書いています。
こんなに美しく親しみ深い桜が咲いているのなら
毎年見ないと何か大事なことを忘れたような物足りない気持ちになりそうですよね。
かく言う私もその一人。今年も春の義理を果たせました。


散り初めということでしたが、散った花びらが絨毯のようで、これはこれで美しい…




この日は4月8日。お釈迦様の誕生日をお祝いする花祭り。花御堂にお祀りした誕生仏に甘茶をかけてお祝いします。



フォトスポット用の花御堂も備えられ、誕生仏になりきって写真を撮る人の行列が…



御室ツツジも見頃を迎え、鮮やかなピンク色が新緑に映えていました。


桜からツツジへ季節も移ろってゆきます。

仁和寺境内は、石段やゆるやかな坂道はあるものの、比較的歩きやすいです。
ただ、桜林は土の道なので、雨の日はぬかるみ滑りやすくなっています。写真の撮影に夢中になって転ばないように足元に気をつけて下さいね。今回は桜林周辺の散策のみだったので1時間ほどでした。仁和寺内には、御殿、霊宝館などもありますので、そちらもご覧になりたい方はお時間に余裕をみてお越し下さい。